焦点:中国富裕層が香港の高級住宅を叩き売り、本土の信用収縮で

半分近くが売りに出される「ゴーストタウン」住宅地も

3月20日、中国本土における信用収縮で資金繰りに窮した中国人富裕層が、香港に保有する高級住宅を叩き売りしている。写真は18日、香港で売りに出されている中国人所有の高級住宅(2014年 ロイター/Bobby Yip)

[香港 20日 ロイター] - 中国本土における信用収縮で資金繰りに窮した中国人富裕層が、香港に保有する高級住宅を叩き売りしている。

中国人富裕層は香港の不動産価格高騰を招いた犯人として批判を浴びてきた。2012年第3・四半期に販売された新築高級住宅は、43%が中国人富裕層が購入した。

その後、外国人購入者を対象とした増税が導入され、借り入れコストの上昇も相まって需要は後退。ことしは不動産価格が10%下落すると予想されており、売却を急ぐ動きが強まった。

時を同じくして中国の金融環境が引き締まり、今週は35億元の負債を抱える中国の不動産開発会社が経営危機に陥り金融リスクの広がりが懸念された。

センタライン・プロパティーのアカウントマネジャー、NortonNg氏は「中国本土の売り手の中には流動性の問題、例えば本土で経営している企業が何らかの困難に見舞われるといった問題を抱え、キャッシュ確保のために住宅を売却した例が見られる」と説明した。

不動産の代理店によると、現在香港で売り出されている中古住宅の約3分の1を中国本土の人々が保有しており、この比率は1年前の20%から高まった。多くは市場平均を5─10%下回る価格を提示、中には素早く売却するために20%も下げるケースもあるという。

<ゴーストタウン>

不動産代理店によると、中国本土との境界線から車で約10分、「バレー(Valais)」と名付けられた香港の住宅開発地では、住宅330戸の約4分の1から半分が現在売りに出されている。一戸当たり3000万─6600万香港ドルに達するこれらの住宅は2010年に販売を開始し、初日に3分の1が売れるほどの人気を博した。買い手の約半分は中国本土の人々だった。

地元メディアが今「ゴーストタウン」と呼ぶこの住宅地は、香港の不動産最大手、新鴻基地産(サンフンカイ・プロパティーズ)<0016.HK>が開発。現在は売却を望む中国本土の所有者が増えている。

ジョーンズ・ラング・ラサールのマネジングディレクター、ジョゼフ・ツァン氏は「中国本土の購入者の多くは、市場が過熱していた3年前に香港で大量の不動産を購入した。しかし今、本土の流動性がかなり逼迫してきたため、現金化を望んでいる」と話した。

新鴻基地産の広報担当者によると、バレーの入居率は現在75%。広報担当者は、売りに出ている中古物件の大半は「良い価格での売却を望んでおり、大幅な値下げに前向きではない」と説明した。

<現金化>

バレーからほど近い住宅開発地「ザ・グリーン」は、中国海外発展(チャイナオーバーシーズランド)<0688.HK>が開発した。今年初めに引き渡された住宅の約20%が現在、売りに出されている。半分以上は2012年に本土の中国人が1800万─6000万香港ドルで購入したものだ。

中国海外発展のコメントは取れていない。

コリエールズ・インターナショナルの住宅販売担当エクゼクティブディレクター、リッキー・プーン氏は「(中国の地主に)資金返済を迫っている銀行があり、地主は本土にいくらか資金を戻す必要に迫られている。銀行から強い圧力を掛けられているため、値下げに踏み切っている」と話す。

西九龍地区では新たに開発された地区の多くでアパートの25%近くを本土の富裕層が数年前に購入したばかりだが、今では安値で売りに出している。

新鴻基地産が12年に手掛けた高級不動産プロジェクト、「インペリアル・カリナン」では今月、ある中国人地主が121平方メートルのアパートを1930万香港ドルと、元値を17%下回る価格で売却した。センタライン・プロパティーの西九龍地区支店長、リチャード・チャン氏によると、この地主は代理店に対し、「一刻も早く」売却したいと告げた。

チャン氏は「彼らにとって最も重要なのは、なるべく早く売却することだ。ここ2週間、値下げに前向きなのは本土の中国人だった。これが香港の不動産市場に何らかの影響を及ぼすのは間違いない」と語った。

(Yimou Lee記者)

ReutersCopyright
copyright (C) 2017 Thomson Reuters 無断転載を禁じます

ページトップ