日銀短観(3月調査)を独自予想してみた!

転換点を迎えたアベノミクス

鈴木 雅幸

日銀短観の3月調査が4月1日に発表される。注目は3カ月後の「先行きDI」だ。足元で見られる消費増税前の駆け込み需要とその反動減がもたらす「落差」は、どの程度のインパクトになるかが焦点といえる。3月日銀短観の業況DIを独自予測しながら、消費増税後の日本経済を占ってみた。

4月1日に発表される3月日銀短観ははたして景気をどう読むか

まず消費増税直前の3月時点における駆け込み需要の水準がどの程度になるかーー。

自動車や不動産、百貨店などの高額消費は足元ではすでに駆け込みのピークを過ぎている。スーパーなどの小売りは3月下旬が本番だ。イオンは3月20日から全国の系列店で割引セールを実施している。そのほか卸売りや建設・住宅資材の化学製品、鉄鋼なども高水準の需要が続くもよう。しかし、これら以外の業種では目立った駆け込み需要は見られていない。

これは、3月日銀短観の先行指標といえる3月ロイター短観(企業調査)でも明らかだ。「企業は駆け込み需要が予想の範囲内にとどまり、やや盛り上がりに欠ける」としている。第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストも3月20日付リポートで、「駆け込み需要の範囲はあまり広がっていない。景気のモメンタムはさほど加速感が強まっておらず、10~12月に比べると、1~3月の各種経済指標は改善幅がやや小さくなっている」と述べている。

つまり、駆け込み需要の「山」は97年の消費増税時と比べても、それほど大きくないとの見方ができるようだ。アベノミクスによる景気刺激策から1年余り経ったが、日本経済の構造問題は何も解消されておらず、景況感の改善は本格的な離陸段階に至っていない。賃上げも一部の企業に限られるほか、「ご祝儀」的な一時的な面も否めないだろう。その中で駆け込むほどの消費が見込めるのは、おのずと限定的になるようだ。

こういった状況を踏まえ、3月日銀短観の業況DIを独自予測すると、大企業製造業は18(前回調査比+2%ポイント)、同非製造業では25(同+5%ポイント)、中小企業製造業で3(同+2%ポイント)、同非製造業で7(同+3%ポイント)になるとみる。各カテゴリーとも12月の前回調査からは上昇するものの、伸び幅はそれほど大きくない。

では、消費増税後の反動減はどうなるか

大企業製造業で明らかに大きな落ち込みが見込まれるのは自動車販売だろう。ロイター短観でも輸送用機器の先行きDI(3カ月後)がー14と、3月DI比27%ポイント悪化するとみている。ほかにセメントなどの化学製品や建設・住宅資材の鉄鋼が落ち込むとの予想だ。ただ、食品や精密機器は横ばい、金属・機械、電機にいたっては増税後に改善が見込まれている。

ロイター短観を見るかぎり、反動減による景況感の悪化は小幅にとどまるとみられ、当方の独自予測では大企業製造業における3カ月後先行きDIは12と、3月予測比6%ポイントの悪化を見込んでいる。つまり反動減があっても、13年9月の日銀短観水準に戻る程度となりそうだ。

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