格安SIMのパイオニア、日本通信の逆襲

営業益2倍増と絶好調の理由は?

田邉 佳介
日本通信のオフィス風景。各個人の担当業務が次々と変わるため社内はフリーアドレスを採用している(撮影:風間仁一郎)

 3月24日の業績上方修正を受けて株価は急伸、その後も年初来高値更新を続けた日本通信。14年3月期の売上高は前期比14%増の45.2億円、営業利益も約2倍の7億円と大幅な伸びを見込んでいる。

 同社はNTTドコモなど、通信事業者のネットワークを借りて、独自の通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)の先駆者。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯3社のスマートフォン料金が月額6000~8000円(高速データ通信のLTEスマホの場合)と高止まりする中、MVNO各社の格安SIMカードは、着実に裾野を広げている。(東洋経済オンライン関連記事参照)

 MVNOのサービスは、各社のSIMカードをスマホに挿して利用する。1カ月間に使えるデータ通信量が少ない、音声通話ができない(一部を除く)といった制約はあるが、1000円以下で利用できるプランが中心だ。KDDIとソフトバンク(グループのイー・モバイルを除く)は外部の事業者に回線を提供していないため、大半がドコモの回線を利用している。昨年4月にNTTコミュニケーションズ(以下NTTコム)が本格参入し月額980円のサービスを開始すると競争は一気に過熱。インターネットイニシアティブ(IIJ)もこれに応戦し、両社は順調に契約者数を伸ばしていった。

 日本通信はこうした流れに対抗策を打てず、遅れをとる形となる。三田聖二社長がMVNO協議会の会長を務めており、「会長自身が市場で殴り込みをかけるわけにはいかない」(三田社長)という事情があったためだ。

会長退任後に積極策に転換

 だが、三田社長が協議会会長を退任した後、13年11月に投入したのが、月額1560円で音声通話と200キロビットの速度でデータ通信ができる「スマホ電話SIM フリーData」。同プランはイオンやヨドバシカメラ、アマゾンなど、提携する流通業者からの評判も上々で、11月、12月と出荷数を大幅に伸ばすことができた。「消費増税に対する節約ニーズもあり、いいタイミングで投入できた。この好調が足元の業績を牽引しているといっても過言ではない」(福田尚久副社長)。

 その後、14年1月にはNTTコム、IIJのライバル2社を上回る通信データ量を持つプランを発表。4月からはイオンと協力し、通信料金と本体代金込みで月額2980円の「イオンのスマートフォン」発売にも乗り出した。LTEの高速通信は使えないが「機能を絞って安くスマホを使いたい」というニーズに応えた商品だ。節約ニーズが高まる中、矢継ぎ早に手を打つことで、積極的にユーザーを取り込もうとしている。

記事中の会社を詳しく見る

日本通信 (9424)

ページトップ