シリーズ「こういう株を探しましょう(その2)」

ペッパーFSが驚異の急騰、いきなり!すてき

 成長イメージが求められる新興株市場。特に東証マザーズ市場にその傾向は強く、小売株などには「なぜマザーズに上場したの?」的な冷ややかな空気さえ流れがちだ。しかし、先週のマザーズ市場でひときわ輝きを放ったのはペッパーフードサービス(3053)だった。ペッパーは低価格のステーキ店「ペッパーランチ」を全国展開する会社である。日足チャートを見れば一目瞭然、口あんぐり状態だ。

 4日の終値は1151円だった。週が替わって翌営業日の7日に買い注文が殺到、巨大なマド(200円以上)があいた。これは、日豪の経済連携協定(EPA)交渉において、牛肉の関税の大幅引き下げで大筋合意すると伝わったためだ。牛肉関連って何があったっけ?的な物色ともいえるが、それは助走にすぎなかった。先週に入って上げは加速し、18日高値2150円まで駆け上がったのである。

 ペッパーの驚異の急騰。これは裏付けなき急騰ではない。株価が上がったことで気づいた自分が悔やまれてならないが、ペッパーの既存店売上高は、対前年同月比「17カ月連続」で伸びていたのだ(16日に同社がリリース)。

 「角切りステーキ」でO-157感染者を出したのが2009年。食中毒事故で客足は遠のいたが、12年11月から回復歩調をたどったのである。そして、今年の2月、国内ペッパーランチの既存店ピークだった09年と同水準まで回復。3月分では同年対比で106%となり、「今が創業以来最も好調」な状態だったのだ。

 既存店の回復の起点は12年11月である。これはアベノミクスの起点ともされる時期に重なる。同社のリリースには、「アベノミクスも追い風となり、お客様単価、お客様数ともに上昇しています」との文言が入っている。低価格といえども、ステーキはステーキ。株で儲かっていないから百貨店で高級時計は買えないけれども……という多くの人々にとっての“プチぜいたく”はこういった形で表れたのである。

 “プチぜいたく”を堪能したい人の受け皿としての存在意義を自覚しているのだろう、同社は創業来、ビジネスモデルの強みとしてきた券売機をレジに切り換えた。ファストフード的な立ち位置から気軽なステーキレストラン風な立ち位置へ静かに変化した戦略は見事といえる。

 もう一点見過ごせないのが、大ヒット業態を生み出したことだ。グラム売り(1グラム5円)の立ち食いステーキ専門店「いきなり!ステーキ」を開発した。立ち食いといえばソバが日本の文化だが、なんとステーキでトライしたのである。しかも本格ステーキで低価格とコストパフォーマンス最高。これがウケ、銀座にオープンした2店舗は連日行列ができるうわさの店になっているのだ。このスタイルで、ついには今年、本場米国のニューヨークにも出店する計画という。

 逆境をバネにしたペッパーは、新興株市場の中小型の飲食関連銘柄の見本といえそうだ。株式市場では目立たなくても、経営戦略次第で変貌できるポテンシャルはある。すぐには気づかれなくても、どこかで株価に必ず反映される。中小型株を侮るなかれ、それを(いつかは)ちゃんと織り込んでくれる株式市場も侮るなかれ! ペッパーのような株を探しましょう!

(おしまい)

(毎週火曜日に掲載)

株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。

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ペッパFS (3053)

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