当てが外れた日本株、強い米雇用統計でも大幅下落

よほどインパクトがなければ、買い材料にはならない!?

[東京 7日 ロイター] - 連休明けの日本株は、大幅安となっている。4月米雇用統計が強ければ、米株高とドル高・円安で日本株にもプラスとの見方もあったが、当てが外れた格好だ。非農業部門雇用者数は増加したものの、賃金の上昇が伴わないなど米雇用環境に弱さもみられたほか、ウクライナやタイの情勢が緊迫化し、グローバル投資家の間でリスク回避の動きが強まっている。

日本株には割安感も出ているが、下値を買う動きは乏しい。

5月7日、連休明けの日本株は、大幅安となっている。4月米雇用統計が強ければ、米株高とドル高・円安で日本株にもプラスとの見方もあったが、当てが外れた格好だ。写真は都内で撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

 見かけほど強くなかった米雇用統計

4月米雇用統計後のマーケットがさえない1つ目の要因は、雇用統計自体が見かけほど強くなかった点だ。一番注目が集まる非農業部門雇用者数は28万8000人増と市場予想を大きく上回ったが、寒波の影響の反動が出た可能性が大きい。また、時間当たり賃金が横ばいにとどまるなど、米労働市場にまだ「ゆるみ(Slack)」が残っているとみられている。

ロイターが統計発表後にプライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)を対象に行った調査によると、米連邦準備理事会(FRB)が2015年上半期に利上げ開始に踏み切るとの予想に大きな変化はなく、むしろ最新の調査では15年後半のとの見方が多くなっている。4月の雇用統計は少なくとも早期利上げ観測を強める内容ではなかったようだ。

「6月のFOMCまで、もう1回、雇用統計を確認することができる。今回の数字だけではFRBも市場も見方を変えないだろう」と、三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は指摘する。5月にFOMCは予定されていない。

早期の米利上げ観測が強まらないことは、米株にとってプラスであるが、緩やかな米経済の回復が確認される程度では、米株は反応しなくなっている。「米経済が今年、2%半ばの成長をたどるというシナリオは、すでに織り込まれている。多少、経済指標が良くなった程度では、株を買う材料にはならない」(外資系証券)という。買い材料にならなければ、過去最高値圏にある米株には利益確定売りが出やすい。

一方、米債市場では金利が低下。「4月雇用統計を受けて金利上昇を予想するポジションが積み上がっていたが、結果的に金利は上昇せず、ポジションの巻き戻しが起き、金利低下に拍車をかけたようだ」(大手銀行)という。

ウクライナ情勢の緊迫化などリスク回避方向の材料も加わり、ドル/円は101円台半ばまで円高が進んだ。

この結果、日本株には米株安と円高のダブルパンチとなり、連休明けの日経平均<.N225>は350円を超える下落となり、一時、1万4100円を割り込んだ。「連休明けにしてはフローは少ないが、海外株安と円高で海外勢がポジションを縮小。国内勢も個人投資家を中心に中小型株への売りが出ている」(大手証券)という。

押し目買い乏しい日本株

マーケット全体でリスクオフムードが強まっているわけではない。日本株は連休中のギャップを埋める形で値幅が大きくなっているが、米ダウ<.DJI>は雇用統計前の水準と比べ、下落幅は約155ドルに過ぎない。

投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ・インデックス(VIX)<.vix>は、7日の海外市場で13.80ポイントと最近のレンジ内にとどまっている。

トムソン・ロイター傘下の投信情報会社リッパーがまとめた米国ファンドの資金動向に関する週間調査(4月30日までの週)によると、株式ファンドは42億ドルの流入超となった。一方、課税債券ファンドは7億1100万ドルの流入超と、8週間ぶりの低水準にとどまった。リッパーの米州調査責任者、Jeff Tjornehoj氏は「投資家は債券よりも株式の方が期待できると考えている」と述べた。

4月の米雇用統計はそれほど強くなかったが、米ISM指数は製造業、非製造業とも堅調だった。中国経済など不安要素はあるものの、米経済が順調に回復していけば、いずれ株式などリスク性資産にマネーが向かう可能性はまだ残されている。

ただ、日本株には割安感に注目するような買いは入らなくなっており、ズルズルと下値を切り下げている。日経平均の予想株価収益率(PER)は13倍台まで低下してきてるが、押し目買いは鈍い。

その背景には、日本独自の買い材料が乏しくなっていることがある。日銀の追加緩和期待は後退。法人税減税や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式購入枠拡大には期待が残っているものの、話題になって久しく「よほどサプライズがなければ、市場の反応は、短期間に終わってしまう可能性がある」(国内投信)という。

インベストラスト代表取締役の福永博之氏は「買い材料が乏しくなり、世界の株との相対感で、これ以上、日本株の組み入れ比率を引き上げる必要があるのか、というムードが海外投資家の間で広がっているのだろう。6月の成長戦略でよほどインパクトのある政策が出なければ、利益確定売りの対象になりやすい状態はしばらく続きそうだ」と述べている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)
 

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