大川智宏さんに聞いた“日経平均は年内1万7500円も”

いったん調整した後、10月ごろから本格上昇へ

日本株のさらなる上昇には市場エネルギーの拡大が必要になりそう(撮影:尾形文繁)

19日の東京株式市場で日経平均株価は大幅高。1万5300円台と1月下旬以来の高値水準に到達した。さらなる上値追いの展開はあるのか。UBS証券エクイティ・ストラテジストの大川智宏氏に聞いた。

ーー足元の日本株の動きをどのように見ていますか。

相場は底堅さを増している。下値不安は乏しいだろう。たとえ下げたとしても1万4000円程度で踏みとどまるとみられる。

年初からの株式相場下落は日銀の追加金融緩和期待の剥落を反映したもの。だが、黒田総裁が期待をうまく後退させたことで、法人税率引き下げや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革などの政策に焦点が当たりやすい環境が整ってきた。

欧米の市場との比較でも日本株は消去法的に買われやすい面がある。米国株はバブルぎみ。欧州景気は最悪期を脱したが、回復は緩慢だ。アジアの投資家に話を聞くと、日本株投資に積極的とまではいかないが、感触はさほど悪くない。海外から日本株へ資金が流入しやすい状況になってきた。19日の市場での大型株人気も外国人の買いに後押しされた側面が強そうだ。「グローバルマクロ」などのファンドは通常、中小型株には手を出さない。

ーー円安が思ったほど進まず、企業収益の大幅な上振れに対する懐疑的な見方の強まっていることが、相場の重しになっています。

確かに、大幅な円安進行が今後見込めるかどうかは微妙。それでも、「円安方向」であることに変わりはないだろう。1ドル=106円程度まで円が売られれば、今期業績予想の上方修正の可能性も出てくる。

日本株は異常に安い。利益はすでにリーマンショック前の水準を回復しており、株価には切り上げの余地があるだろう。昨年末時点の日経平均ベースの予想株価収益率(PER)は16倍台後半。足元は14倍台後半にとどまっている。

現政権の期待コントロールの巧拙が株価を左右

ーー19日には東証1部の売買代金が活況かどうかの目安とされる2兆円を超えましたが、それでも盛り上がりに欠ける感があります。

過去を振り返っても、市場エネルギーや変動率(ボラティリティ)拡大を伴わずに、株価が長期にわたって上昇したケースはほとんど見当たらない。短期的な株高局面は後半にさしかかっており、いったんは調整入りするとみている。

おおかわ・ともひろ●野村総研、クレディ・スイス証券などを経て2013年11月よりUBS証券。日本株ストラテジストとして投資戦略および計量市場分析を担当。

ただ、10月ごろからは再び、上昇に転じそうだ。現政権は株式市場に対して敏感であり、調整局面で市場の期待を高めるような政策を打ち出す公算が大きい。

法人税率については、「29%へ引き下げ」というのがマーケットのコンセンサス。GPIFの国内株の基本比率をめぐっては、現行の12%から20%へ引き上げられるとの見方が強まっている。

このうち、いずれかで具体的な数字が出てくるとみており、それが上昇の引き金になるだろう。日銀の追加緩和は一過性の材料にすぎないが、法人税率下げやGPIF改革は投資家のセンチメント改善に長く寄与しそうだ。現政権が市場参加者の期待をいかにうまくコントロールできるかが株高のカギを握っている。

ーー株価の上値のメドや、物色の流れは。

これまでは「東証株価指数(TOPIX)が年内に1500ポイントまで上昇」との見通しに対して、「高すぎる」との批判も受けたが、決して非現実的な想定とはいえなくなってきた。日経平均は1万7500円までの値上がりもありうる。

今後は大型株主導。当面は大型株のパフォーマンスが中小型株を上回るだろう。短期的には為替感応度の高い輸出関連銘柄の値上がりが目立つことになりそうだ。
 

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