アコーディア株主総会、レノが質問連発も議決は無風

主役は元「村上ファンド」広報担当が代表を務める投資会社「レノ」

大滝 俊一
アコーディアの鎌田隆介社長、2012年にはPGMによるTOBに対抗した(撮影:梅谷秀司)

 ゴルフ場の大半を“切り売り”する議案で話題を呼んだ、ゴルフ場保有・運営首位のアコーディア・ゴルフ。その株主総会が6月27日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)で開かれた。同ホテルは2年前の2012年6月末、経営権奪取を狙った大株主の平和グループ(パチンコ・パチスロ機器大手)と会社側との委任状争奪戦(プロキシーファイト)で荒れに荒れ、足かけ2日間の株主総会が行われたのと同じ会場。が、今回の総会は大きな争点があったにもかかわらず、会社側の議案がおおむね9割以上の賛同を得て承認されるなど、無風に近い形で進められた。

 今年の総会の“主役”は、何といってもレノだろう。レノとはかつての「村上ファンド」で広報担当などを務めた三浦恵美氏が代表を務める投資会社。アコーディアが同業のPGMホールディングス(前出・平和の子会社)から敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられた12年末~13年初めにアコーディア株を買い集め、結果的にPGMのTOBを失敗に導いた。レノはその後もアコーディア株の買い増しを進め、今年6月30日に関東財務局長に提出された大量保有報告書(変更報告書)では、レノグループの持ち株比率はアコーディアの発行済み株式総数の31.05%にも達している。

 会社側は今回の株主総会について、メディア側にモニター画像などによるリアルタイムでの傍聴はさせず、総会終了直後の説明会で、メディア側の質問に答える形でそのもようを伝えるにとどまった。同社では「レノの三浦さんが総会に出たかどうか、質問したかどうかも含めて教えられない」としているが、総会出席者によると、三浦氏は実際に質疑応答に立ち、配当性向の引き下げ問題や、ゴルフ場“切り売り”施策の実現性などについて、次々に質問を投げかけたという。 

 このレノの三浦氏を含め、今回の株主総会に実際に足を運んだ株主は363人。昨年の同329人は上回ったが、委任状争奪戦で白熱した一昨年の532人は大きく下回った。ただ、事前の郵送やインターネットによる議決権行使も含めて、全体の議決権行使率は7割前後に達している。

 アコーディアが今回の総会に提案した議案は全部で7つ。うち、1号から4号までの議案の内容は、剰余金の配当、自然エネルギーなどによる発電事業を事業目的に追加する定款変更、鎌田隆介社長を含む取締役10名の選任、監査役2名の選任といった、総会議案の定番メニュー。

 一方、5号議案は、アコーディアの保有する133コースのうち90コースを切り売りする「アセットライト」戦略への賛同を求めるもの。6号議案はそのスキーム実施のパートナーとなる大和PIパートナーズ(大和証券グループ本社の子会社)から新株予約権付きローンによる資金調達を行うとの内容で、200億円強の借り入れを予定。7号議案は、アセットライト実施による譲渡金額の一部で、8月上旬にも自己株式のTOBを総額450億円以上、1株当たり1400円で行うとの内容であり、同社の発行済み株式総数は現状の3分の2程度に減少することになる。

 5号~7号議案の中でも注目されていたのが、5号議案の「アセットライト」施策だ。

 アコーディアはゴルフ場ビジネスの軸足をゴルフ場の「保有」から「運営」に移し、バランスシート上で肥大化したゴルフ場の資産(アセット)を身軽(ライト)にする方針を3月末に打ち出した。具体的にはゴルフ場保有子会社の株式をSPC(特別目的会社)に売却し、そのSPCに対する持ち分をシンガポール証券取引所に上場予定のファンド「ビジネス・トラスト」に譲渡。アコーディアは譲渡金額1117億円以上(それ未満だと譲渡中止)を受け取ると同時に、SPCから当のゴルフ場90コースの運営を受託する。この結果、アコーディアがこれまで売り上げ計上していたゴルフ場運営収入がSPCに帰属することになり、アコーディアにはSPCからの運営受託収益しか入らなくなる。アセットライトが通期化する16年3月期には、売上高542億円、営業利益85億円となり、直近14年3月期実績の6~7割前後に縮小することになる。

 株主総会の場でも、質問が多かったのはこの5号議案に関してのものだった。質問に立った株主はレノの三浦氏を含めて15人、質問個数は31に及んだ。三浦氏の質問内容は、会社側の一連の施策に対して否定的なニュアンスのものも含まれていたとみられる。ただ、レノは3月31日に関東財務局に提出した変更報告書の中で、今回の株主総会ではレノグループ以外の株主のうち議決権の過半数に当たる株主が賛同することなどを条件に、会社側提案への賛同を承諾済み。結果的に大きな波乱は起きなかった。

 株主総会を無事通過したことで、今後、アコーディアにとって大きな焦点となるのは、ビジネス・トラストのシンガポール上場が本当にスムーズにいくのかどうかということと、レノの「出口戦略」の行方だろう。

 特に後者について、レノは前出の3月31日付変更報告書の中で、アコーディアが今回の7号議案で提案した自己株TOBに応募することを表明。アコーディア側では、レノが保有するアコーディア株について、「基本的に全株を応募してもらえるとみている」(鎌田隆介社長)との見通しを明らかにしている。投資会社である以上、レノにとって、今回の自己株TOBへの応募は、まさに格好の出口戦略になるはずだった。

 ただ、アコーディア側の示している自己株買い付け価格1400円に対し、6月30日現在の株価は1350円弱。時価近辺でアコーディアの株価が推移した場合、発行済み株式総数の30%強程度をメドとする自己株TOBへの応募が殺到し、按分比例での買い付けになる可能性がある。そうなると、レノは現在保有している全株(保有割合31%)を応募したとしても、全株を売り抜けることはできなくなる。レノは、アコーディアが今回の一連の施策を発表した3月28日以降も、アコーディア株を保有割合にして6%近く買い増ししており、現時点では「出口戦略」を狙っているとは言いにくくなっていることも確かだ。

 8月上旬をメドとする自己株TOBまで残すところ1カ月あまり。アコーディア側としては、公開買い付け予定価格である1400円を株価が上回るかどうか、見守るしかない局面にあるといえそうだ。

(百万円) 売上高 営業利益 経常益 純利益 1株益(円) 1株配(円)
連本2014.03 91,983 12,246 10,318 4,617 45.0 56
連本2015.03予 68,100 8,700 5,200 7,200 70.1 36
連本2016.03予 54,000 8,000 6,500 6,000 58.5 26 - 36
連中2013.09 48,930 7,319 6,387 3,130 3050 0
連中2014.09予 43,700 4,800 2,400 5,900 57.5 0

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