市場注目の2015年FOMC投票権者、タカ派からハト派優勢に

依然として不透明感が残る米国の金融政策

7月10日、6月17─18日分のFOMC議事要旨に対し、各市場は都合の良い部分だけを抜き出して反応している。ワシントンのFRB本部で2012年4月撮影(2014年 ロイター/Joshua Roberts)

[東京 10日 ロイター] - 6月17─18日分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に対し、各市場は都合の良い部分だけを抜き出して反応している。今後の金融政策の進め方について、具体的な議論はあったが、内容的にはタカ派、ハト派両方の材料が混在したためだ。市場が注目するのは2015年のFOMC投票権者の顔ぶれ。タカ派が多かった2014年に対し、来年はハト派が多くなり、早期の利上げは難しくなるとの見方が出ている。

<不透明感残る米金融政策>

FOMC議事要旨を受けた9日の米市場の反応は、株高・債券高となった。株式市場では米経済の堅調さに自信を見せた部分を評価。

一方、債券市場では、経済が最近強まりつつあることを認めながらも、来年後半まで利上げはない公算を示唆する内容だったとして、こちらも買い(金利は低下)に動いた。タカ派、ハト派両方の材料が混在していたため、両市場にとって好都合だったといえる。

金融緩和の解除に向けた出口戦略の詳細について、検討を始めたことが明らかになり、その点では不透明感が薄らいだ。

ただ、リバースレポと超過準備預金金利(IOER)の双方を活用することなど、方法論は明らかになったものの、現在は来年半ばと予想されている利上げの時期をFRBが前倒しすることを示唆するような内容は乏しく、不透明感は依然残ったままだ。

4兆ドルを超える資産を縮小するのは、利上げの前か後かについても、見方は定まらなかった。満期を迎えた保有証券の再投資を徐々に減らしていく案が出たほか、「なめらかにバランスシートを縮小」するために、一部を再投資する可能性もあるとした。「詳細は金融や経済の状況次第だ」とFOMC出席者の何人かが強調したという。

事前には利上げ時期が明示され、円安が日本株を後押しするとの期待も市場にあったが、期待外れに終わった。米株は反発したものの、円安が進まなかったため、日本株は下振れした5月機械受注などを嫌気し下落。「FOMCは『出口』に向けた具体論は進んだことがわかったものの、マーケットのトレンドを動かすような内容ではなかった」(野村信託銀行・資金為替部次長の網蔵秀樹氏)とみられている。

<円安・株高シナリオには「暗雲」>

10月には現在のテーパリング(量的緩和)が終了することが明らかにされたが、利上げの時期は不透明なまま。こうしたなかで市場が注目し始めているのは2015年のFOMCメンバーだ。

2014年と2015年のFOMCでは、議長や理事は変わらないが、地区連銀総裁の投票メンバーが大きく変わる。

来年、投票権がなくなるのは米ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁、米クリーブランド地区連銀のメスター総裁、米フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁、米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁の4人。替わって、米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁、米サンフランシスコ地区連銀総裁のウィリアムズ総裁、米アトランタ地区連銀のロックハート総裁、米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁が投票権を得る。

タカ派で知られるプロッサー総裁とフィッシャー総裁がいなくなる一方、ハト派のエバンズ総裁とウィリアムズ総裁が入ることで、早いタイミングでの利上げにはつながりにくいとの見方も市場では出ている。「FOMC内で、多くの事柄に『詳細は経済次第』との注釈がつくのは、タカ派への配慮であって、来年はイエレン議長のハト派色がより強く出るのではないか」(三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏)との指摘が典型だ。

となれば、米金利上昇を期待したドル高・円安シナリオは、ますます遠のくことになる。日銀の追加緩和期待も後退しており、日米金融政策の差を円安材料とするのは難しい。日本株は円安離れの気配をみせているが、消費増税への懸念が晴れないなかで、需給的な材料に頼る状況が続くことになりそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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