「ホールド」戦略が有効なジャスダックお宝銘柄の条件は?

“じんわり”上がる日経ジャスダック平均の考察

新興株市場では「日経ジャスダック平均株価(以下:日経JQ平均)」なる指数がジワジワ上昇し、先週末に年初来高値を更新した(25日終値2215.05円)。この指数の算出方法は日経平均株価と同じ。みなし額面で換算した構成銘柄の株価を全部合計し、それを除数で割ってはじき出す。このため、値ガサ株ほど全体の値動きへの影響力が大きい。日経平均でいえばファーストリテイリング、ソフトバンク、ファナックのウエートが高いのは有名だ。

この日経JQ平均における寄与度の高い銘柄をご存じだろうか?あまり知られていないと思うが、最大の影響力を持つのはナカニシ(7716)という銘柄である。歯科用の高速回転機器で世界的にシェアが高く、まさに日本が誇るニッチな技術企業だ。

週足の株価チャートをぜひご覧いただきたい。驚くほど堅調に値上がりの続いているのがわかる。ナカニシの25日終値は4435円。3月末で5分割したため、株価を5倍した「2万2175円」が組み入れ株価となる。“日経JQ平均界のユニクロ”である。

ナカニシの次が清和中央ホールディングス(7531)で、組み入れ株価は「1万0900円」。時価総額の考慮されていない日経平均が「TOPIXと比べて実態を反映していない」とよく文句を言われている(笑)が、日経JQ平均も近いところがある(笑)。

異なるのは、日経平均の採用銘柄数が225に限られるのに対し、日経JQ平均は全銘柄が対象である点。時価総額トップのガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)の組み入れ株価は分割を考慮した「6220円」。ナカニシの3分の1以下の影響力しかない。大人気の日本通信(9424)は「1126円」のため、ほぼ指数に影響のない存在である。

こうした指数の弱点はあるが、これだけ着実にじんわりと上がる指数にはぜひ投資したいところ。とはいえ、日経JQ平均に連動するETFも存在しなければ、もちろん先物も存在しない。こんな指数に投資したいと思ってもそのすべはないわけだ。

ここで考えたいのは、“ジャスダックには先物が存在しない”点だ。つまりは、外国人投資家による買いヘッジの力が加わるわけではない。“先物主導”で上がるという概念が存在しないのだ。上がっているときは“現物主導”しかない。じんわり上がっているのは、誰かが現物株をじんわり買い越しているためだ。

最近の上昇の起点は5月22日であり、これは東証1部や東証マザーズともほぼ共通する。東証が公表する投資部門別売買動向のジャスダックだけのデータから、5月と6月に誰が買い越したのかを確認しておきたい。2カ月の総売買代金ベースでは、買い手のトップ3が①外国人投資家(195億円買い越し)、②事業法人(169億円買い越し)、③信託銀行(89億円買い越し)、だった。

これを簡単にまとめれば、「外国人がジャスダック株を買っている」、そして、事業法人の「自己株買いもしっかり入っている」、の2点がわかる。信託銀行は年金系のフローか自己株買いである。

“じんわり”の決め手となると、自己株買い(事業法人)で間違いない!自己株買いが、外国人と遜色ない規模で上昇を牽引する構図は東証1部では考えられないことだ。需給構造としては、「流動性が高くない中での自己株買いが需給効果を与えやすい」、そして「自己株買いによって浮動株が減ることで需給がタイトになる」の2点が“じんわり”の根本的理由との推測が成り立つ。

ジャスダック銘柄の中でも流動性が低い(日本通信、日本マイクロニクス、菊池製作所のような銘柄ではない)、かつ、自己株買い実績の優秀な銘柄は「ホールド」の投資戦略が有効となる!……はず。

(おしまい)

(毎週火曜日に掲載)

株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。

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