米利上げ織込み始めた市場、上昇する米2年債金利がドル円けん引

FOMCなどイベントを前にした投機的な動きである可能性も

7月30日、こう着相場を抜け出してきたドル/円の原動力は、米2年債利回りの上昇だ。写真は2010年10月撮影(2014年 ロイター/Truth Leem)

[東京 30日 ロイター] - こう着相場を抜け出してきたドル/円の原動力は、米2年債利回りの上昇だ。堅調な米経済指標を背景に米利上げを織り込み始めており、5月の0.3%前半から0.5%半ばまで上昇している。

ただ、今晩のFOMC(米連邦公開市場委員会)や米国内総生産(GDP)発表などを前にした投機的な動きである可能性もあり、これらのイベントを通過した後もトレンドが続くかが焦点となる。

<米経済指標の改善が手掛かり>

世界的な金利低下傾向に逆行する動きを見せているのが米2年債だ。29日の市場では0.547%まで上昇。2011年5月以来、約3年2カ月ぶりの高水準となっている。一方、5年債や10年債の利回りは低いままで、金利曲線はいわゆるフラット化が進んでいる。

短い年限の金利上昇の背景は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げを市場が織り込み始めたからだ。現在進めているテーパリング(量的緩和縮小)は10月に終了。当局者から引き締めに至る「出口戦略」の道順は明確に語られていないものの、市場はいち早く利上げを織り込み始めている。

その裏付けは堅調な米経済指標。寒波の影響で1─3月期GDPの落ち込みは2.9%減と大きかったが、その後は順調に改善し、7月に入っても フィラデルフィア地区連銀業況指数や、消費者信頼感指数などが大きく改善している。

急激な連続利上げが想定されていないこともあって5─10年債利回りは低いままだが、「金融政策が動き出そうという時は短い国債金利に注目が集まりやすい」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏)という。ドル/円は長らくのこう着相場を脱し、102円台を突破、さらなる上値をうかがう勢いだ。

<投機的な動きの可能性も>

ただ、「GDPやFOMCなどイベントを前にした投機的な動きである可能性もある」(国内銀行)という。今晩のFOMCはイエレン議長の会見は予定されていないものの、声明文に注目が集まっており、市場では「一言くらい強めのタカ派的な言葉が入っているのではないかとの思惑がドル高に拍車を掛けている」(同)との指摘が出ている。

IG証券マーケット・アナリストの石川順一氏は「イエレン議長は7月15日の議会証言で早期利上げをにおわすような発言をしていたが、そのような文言が声明文に盛り込まれてきた場合は『タカ派サプライズ』として米金利の上昇とドル買いを強める展開となるだろう」と指摘。一方、FOMCでサプライズがなかった場合は、期待先行で上がってきた分、ドル売り圧力が強まるとの見方を示している。

堅調な米経済指標も多いが、住宅市場や賃金など弱い面も少なくない。「FRB内ではいろいろな意見があるようだが、イエレン議長は依然としてハト派的な状況認識を崩してないとみられる」(三菱東京UFJ銀行シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏)との指摘もある。

米商品先物取引委員会(CFTC)が25日発表したIMM通貨先物の非商業部門の取組(7月22日までの週)によると、円の売り越しは5万3916枚と5月以来の低水準。投機筋の円ショートの積み増し余地は大きくなっている。イベントが予想に反した結果に終われば、反動が大きくなる可能性もある。

(伊賀大記 編集:宮崎亜巳)

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