焦点:ドルは7月好調で待望の上昇局面定着か、米利上げ開始見据える

投機筋はドル買い持ちか

7月31日、長く予想されてきたドル高局面の足場が固まってきた。7月のドルのパフォーマンスは過去1年5カ月で最高となり、投資家はFRBの利上げ開始をにらんだポジションを構築している。写真は7月、議会で証言するイエレン米FRB議長(2014年 ロイター//Kevin Lamarque)

[ニューヨーク 31日 ロイター] - 長らく予想されてきたドル高局面の足場が、ようやく固まってきたようだ。7月のドルのパフォーマンスは過去1年5カ月で最高となり、投資家は米連邦準備理事会(FRB)の利上げ開始をにらんだポジションを構築しつつある。

今週は第2・四半期の米国内総生産(GDP)成長率が4%と発表され、FRBは米経済に関する判断を前進させた。こうした動きは、恐らくしばらく先に事実上のゼロ金利が解除されるだろうとの見方を後押しした。

金利先物市場は、FRBは遅くとも来年6月には利上げを開始し、その時期はもっと早まる可能性もあると見込んでいる。他の主要中銀は依然として金融緩和姿勢にある点からすれば、これはドルにとってプラスの要因といえる。

ロンドンを拠点とする投資会社SLJマクロ・パートナーズのパートナー、スティーブン・ジェン氏は「米経済の回復が続いている限り、過小評価されているドルが幅広く反発しないという理由が見当たらない。わたしは年初時点でドル反発を予想していた」と述べた。

今年初め、とりわけ昨年12月にFRBが債券購入(量的緩和)の縮小方針を表明して以来、ドルの戻りを見込んだのはジェン氏だけではなかった。実際、大半のストラテジストは年初にドル強気派に転じている。

第1・四半期の米成長率がマイナスになったことが響き、ドル高が勢いづくまでには相当時間がかかったが、7月最後の2日間の値動きは特筆すべきものがある。4月初め以降続いていた狭いレンジを上に突き抜け、先進国と新興国のほぼすべての通貨に対して上昇した。

7月のドルの通貨バスケットに対する上昇率は2%強で、昨年2月以降で最高になった。

<投機筋はドル買い持ち>

リッパーによると、今年これまでの米債券市場への資金流入総額は938億ドルと、昨年全体の209億ドルの4倍超に達している。米株式市場も、31日に大幅安に見舞われたとはいえ、今年これまでに1371億4000万ドルが流れ込んだ。

対照的にユーロ圏への資金フローは悪化し始めており、リッパーのデータでは7月の欧州株は約5億ドルの純流出と今年初めて流入額よりも流出額が多くなった。

一方で通貨ユーロは、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁がデフレ対策などのために非伝統的政策を駆使する意向があると示唆した5月8日以降、ずっと投機筋から売り持ちにされていることが、BNYメロンのデータから判明した。

ドルは逆にドラギ総裁の発言後しばらくして買い持ちポジションに変わり、11週連続で買い持ちが続いている。

31日にはユーロ/ドルが1.34ドルを下回って8カ月ぶりの安値となり、7月月間でもおよそ1年半ぶりの下落率を記録した。

BNYメロンのクオンツ・ストラテジストで、iフローのマネジングディレクターを務めるSamarjit Shankar氏は「7月は実需投資家のドル買いが復活し、ユーロ/ドルを押し下げている」と指摘した。

<米フォワード金利上昇>

投資家の中からは、最近のドル高は長続きしないかもしれないとの声も聞かれる。

サムソン・キャピタル・アドバイザーズ(ニューヨーク)のジョナサン・ルイス最高投資責任者は、米住宅部門の足腰がなお弱いことがドルの持続的な上昇を阻みかねないとの見方を示した。

ルイス氏は「金利感応度の高い住宅市場が、先の金融危機の震源地だった。そしてFRBの利上げは、不適切な処方せんになるだろう」と述べた。

その上で同氏は、FRBは長期間動かないというのが現実であって市場がそこに注目した際に、ドル指数は3年近く維持されてきたレンジの中心付近という現在の水準から、レンジの下限に向かっていくと予想している。

それでもいくつかの短期金利見通しに関する指標をみると、今後ドルへの追い風が強まることがうかがえる。

ソシエテ・ジェネラルのデータによると、昨年0.45%だった米フォワード1年物金利は今週1.2%と3年ぶりの高水準になった。

前回のFRBの利上げ局面が始まった2004年には、フォワード1年物金利は2.5%から4%強まで跳ね上がった。

ソシエテ・ジェネラル(ロンドン)のシニア通貨ストラテジスト、アルビン・タン氏は「FRBの利上げ見通しが高まる流れの幕開けだと思う。なぜならわれわれは米経済が先行きの成長がよりしっかりする方向に動いていると考えているからであり、ドルはそれに歩調を合わせていくことになる」とみている。

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