“マザーズ卒業”で買われる銘柄はコレだ!

“神7”的存在はサイバーエージェント

先週末の8月1日に東証マザーズから8銘柄が同時脱退するという珍事があった。脱退したといっても上場廃止ではなく、市場変更である。同日付で8銘柄が同時に東証2部へ指定替えとなったのだ。

発表は7月25日の取引終了後だった。東証がマザーズに上場する8銘柄の市場区分を一気に変更すると発表したのだ。マザーズの上場銘柄数は198のため、8銘柄といえば全体の約4%。東証1部に置き換えれば、一度に70銘柄くらいが脱退しますと発表するようなもの。これだけ同時に「私、マザーズを卒業します!」と発表する……某アイドルグループでもさすがにお目にかかれない光景である。

今回卒業を発表したのは、システム・テクノロジー・アイ(2345)、日本ケアサプライ(2393)、DNAチップ研究所(2397)、日本風力開発(2766)、図研エルミック(4770)、リアルビジョン(6786)、ぷらっとホーム(6836)、フォーバルテレコム(9445)の8銘柄だ。

この一斉の市場変更は、今年から東証が新しいルールを作ったためである。マザーズに上場して10年経過した銘柄は「マザーズに継続上場」か「市場第2部へ市場変更」の二者択一を迫られる。そうである、前出の8銘柄はいずれも上場から10年経過したベテラン勢なのである。この制度は市場変更を強制するものではないため、マザーズ残留という決断もできる。

今回も、トランスジェニック(2342)、ASJ(2351)、オンコセラピー・サイエンス(4564)など6銘柄がマザーズ残留を選択した。一度残留を決めると、次の市場選択は5年後になる。今回の例でいえば次回は2019年7月……。なぜ次が5年後なのか?イマイチ東証の目的がわからないが、成長市場に位置づけるマザーズ市場の新陳代謝が狙いなのか。

今回、市場変更した8銘柄には発表の翌営業日に急騰するものも散見されていた(図研エルミックは一時、制限値幅上限のストップ高水準まで買われた)。このルールを狙ったイベントドリブン(事前に買っておいて発表を待つ)も、短絡的ではあるが少しアリかな、といった印象を持った。制度を利用してどういった戦略が立てられるのかを考えてみたい。 <!-- -->

この制度のポイントは、「2004年3月までに上場した会社は、今年の3月以降で初めて到来する事業年度末から起算して3カ月経過した日の翌日から10営業日の間」が市場選択を決断する期間であるという点だ。ややこしくなったが、今回の8銘柄は2004年3月より前に上場した“3月決算企業”だったのである。今年の3月期末から3カ月経過したのが6月末、その翌日の7月1日から10営業日の間に「卒業しよう!」と決断したわけだ。

この仕組みを利用して、今後のマザーズからの市場変更発表を予想してみたい。マザーズに上場して10年が経過した銘柄のなかに4月決算企業はない。そのため、次は5月決算企業のインターアクション(7725)となるはずだ。もちろん、卒業するか残留するかは現時点ではわからない。発表タイミングは9月下旬だろう。その後は、7月決算企業でメディアシーク(4824)アルチザネットワークス(6778)などがあり、発表は11月下旬が想定される。

そして、一斉発表になりそうなのが、9月決算企業のタイミングだろう。ここでの目玉はサイバーエージェント(4751)だ。某アイドルグループ風にいえば、マザーズの“神7”的存在である。そのほか、メディネット(2370)まんだらけ(2652)CEホールディングス(4320)など最大9銘柄が対象になる。発表は来年の1月下旬だが、サイバーエージェントがどう決断するかは関心が高い(その前に自主的に東証1部変更を発表する可能性もある)。

ベテラン勢が卒業を迫られる新生マザーズ市場。IPO数よりも卒業数のほうが多くなると少し寂しくなるマザーズ市場。某アイドル風にいえば、「私のことが嫌いでも、マザーズのことは嫌いにならないでください!」といったところか(今のマザーズ人気を見るかぎりは心配無用だろうが……)。

(おしまい)

(毎週火曜日に掲載)

株式コメンテーター・岡村友哉
株式市場の日々の動向を経済番組で解説。大手証券会社を経て、投資情報会社フィスコへ。その後独立し、現在に至る。フィスコではIPO・新興株市場担当として、IPO企業約400社のレポートを作成し、「初値予想」を投資家向けに提供していた。

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