GPIF期待で日本株反発、強まる景気不安で需給材料に依存

アベノミクス相場初の6日連続安を回避

8月7日、日経平均は反発。GPIFの運用改革に関するロイターの報道が材料視され切り返した。東京証券取引所で昨年6月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 7日 ロイター] - 日経平均<.N225>は反発。いわゆる「アベノミクス相場」で初の6日連続安になるところだったが、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革に関するロイターの報道が材料視され切り返した。

地政学リスクに加え、消費増税の影響で国内景気に不安があるなか、市場の期待は需給効果に集まっている。

<6日連続安を回避>

高まる地政学リスク、調整色が強まる米株、減速懸念の欧州経済──と海外のネガティブ要因が重なる中で、7日の日経平均は後場中盤まで軟調な展開が 続いていた。1万5000円の大台割れも視界に入り、6営業日続落となれば、2012年11月以来となり、いわゆる「アベノミクス相場」では初になるところだった。

市場では「米株が調整局面に入ったのではないかとの見方が出ているほか、欧州株も軟調だ。地政学リスクも依然高い。堅調な企業業績から、いずれ反発するとみていても、現時点では買いにくい」(ケイ・アセット代表の平野憲一氏)との声が出ていた。

マーケットのムードが変わったのは、午後2時。GPIFの運用改革で、日本株への配分を20%超に増やすことを想定し、9月末にかけ調整を本格化さ せる見通しであることが7日、複数の政府・与党関係者への取材でわかったとロイターが報じたことで、日本株は一気に切り返した。

日経平均は、安値から約180円リバウンドし、一時1万5200円半ばまで上昇。「株価がズルズルと下げていたところに、報道が出たことでタイミン グが良かった。GPIFに関しては海外投資家からの注目も高く、買い戻しが入ったようだ」(岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏)とい う。

<背景には景気への不安>

ただ、買い一巡後は上値の重さを感じさせる展開だった。不安が多い海外要因だけでなく、国内では消費増税の影響が懸念され始めてきている。ピークを 過ぎた4─6月期決算発表では総じて堅調な業績が示されているが、「物価上昇の一方、賃金が伸びず家計が圧迫されている。企業だけが業績を伸ばすとは考え にくい」(準大手証券)との声は多い。需給材料に注目が集まるのは、こうした背景もある。

約126兆円の運用資産を抱えるGPIF。現在の基本ポートフォリオの比率は国内債が60%、国内株は12%、外債が11%、外株が12%、短期資 産が5%だ。比率が1%動けば1.26兆円のマネーが動くことになるだけに、世界最大の機関投資家の動向には海外投資家も大きな関心を寄せている。

「マーケットインパクトが出ないような形で買っていくとみられるが、上昇トレンドでは追い風、下落トレンドではサポートになろう」(国内投信)と株式市場の期待は大きい。外債や外株が増えれば、円安材料にもなる。

一方、国民の年金資産を、元本割れの恐れがある株式などリスク性商品で多く運用することへの懸念もある。株式を買えば国債を買う資金は減り、今は日銀が押さえこんでい るとはいえ、金利上昇の可能性も高まる。公的年金が自国の株式をどこまで買うかは、各 国まちまちだ。グローバルスタンダードはないと言っていい。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「GPIFの運用比率見直しで日本株が上昇したとしても、いつまでも買い続けてく れるわけではなく、一時的な効果しか期待できない。足元の日本経済は法人部門は好調だが、家計部門が消費増税の影響で厳しい。需給効果がはげ落ちた後が心 配だ」と警戒している。

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