ユーグレナの挑戦は「日本を中東に変える」のか?

長い目で見たいバイオベンチャーの新エネルギー開発

ベンチャー企業は高い成長力が最大の魅力だ。特にバイオベンチャーは「がんが治る」「失った組織が復元する」「エイズなどの感染症を克服する」といった医療のブレークスルーとなる可能性をうたうため、株式市場での期待感が高まりやすい。

バイオベンチャー企業のターゲットは必ずしも医療分野ばかりではない。医療に並ぶ成長領域として期待されるのがエネルギー分野だ。「バイオ技術で日本が“中東”になる」という壮大な夢物語を掲げる企業もある。

日本はとかく、「資源のない国」などと形容される。エネルギーは過半を海外に依存していることもあって、医療分野以上に期待感が強い。過去には何度も「日本がエネルギー立国になる」というシナリオが市場をにぎわせてきた。地球深層ガス、核融合、メタンハイドレートなどに絡めたストーリーである。

米国ではシェールガス革命が起こって久しい。開発当初は経済性の問題などからさほど期待が大きくなかった。だが、シェール(頁岩)からの掘削が可能となったことで一気にブレークした。

バイオ分野でもエネルギー開発が積極的に進められてきた。具体的には、サトウキビやトウモロコシなどを原料とするバイオエタノール合成、木材廃チップや動物の排泄物などを原料とするバイオマス、藻類やミドリムシを材料とするバイオ燃料の開発などだ。

藻類のバイオ燃料開発ではIHI(7013)などが先行。ミドリムシではバイオベンチャーのユーグレナ(2931)がリードしている。ただ、ユーグレナの現在の主力事業はヨーグルトやのど飴などへのミドリムシ成分の供給。ミドリムシラーメンなどがマスコミの話題になった。

ユーグレナはいすゞ自動車と次世代バイオディーゼル燃料の共同開発に乗り出した。同燃料をいすゞのシャトルバス1台に供給する。

同事業はミドリムシに大量に含まれる「パラミロン」という成分に着目したものだ。同社はすでに食品向けなどのビジネスをテコに事業の黒字化を達成。バイオベンチャーでは稀有なケースといえる。

しかしながら、究極的な事業目標はバイオジェット燃料の開発だ。バイオマスやメタンハイドレートなどと比較すると、ミドリムシによるバイオエネルギーは若干、荒唐無稽にも思える。それでも、経済産業省を始め、東京大、京都大、高知大など有力研究機関が開発パートナーとして手を挙げている。

エネルギーを作り出すこと自体はさほど難しいことではない。問題はコストである。シェールガスもこの課題を克服して新エネルギーに躍り出た。

同社の場合、石垣島などに大量の培養施設を擁し、バイオジェット燃料の効率的生産にも成功した。だが、世界で使用されるジェット燃料は、不純物や微生物の排除などの問題を抜きにすれば、おおむね灯油に近い成分だ。つまり、ミドリムシによるバイオ燃料の価格が灯油並みに下がらなければ、商品としての価値が出ない。大幅なコストダウンが実現しないかぎり、事業化は「夢のまた夢」だ。

道は険しいが、エネルギー分野での成功は日本経済の大飛躍にもつながる。「夢を買う」という観点からすると、バイオベンチャーの新エネルギー開発という材料は極めて投資妙味が大きい。投資家には短気を起こさず、長期的視点で臨むことを勧めたい。 
 

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ユーグレナ (2931) IHI (7013)

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