海外勢の関心低い安倍内閣改造、少子化相でサプライズなら注目も

主要経済閣僚は留任の公算で安定感と停滞感

9月1日、安倍晋三首相による内閣改造に対し、市場の関心度合いは低いままだ。少子化対応に注力するイメージを出すような人事になれば、支持率アップにつながるとの見方もある。写真は2012年12月の安倍内閣発足時に撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 1日 ロイター] - 9月3日に予定されている安倍晋三首相による内閣改造に対し、海外勢を中心に市場の関心度合いは低いままだ。主要経済閣僚の顔ぶれが変わらず、足元で強まる景気の停滞感を打破するような新しい政策を打ち出すのは難しいとの声が多い。他方、日本経済発展のネックになっている少子化対応に注力するイメージを出すような人事になれば、支持率アップにつながるとの見方もある。

<安定感と停滞感>

第2次安倍政権は2012年12月26日の発足から600日を超え、同じ顔ぶれで続く内閣としては戦後最長の内閣となっている。安倍首相は8月5日の政府与党連絡会議で、9月第1週に党役員人事と内閣改造を行うことを明らかにしたうえで、デフレ脱却に向け、これからも経済最優先で取り組んでいくと述べた。

だが、市場の期待は一向に盛り上がっていない。麻生太郎財務相や甘利明経済再生担当相など主要経済閣僚は留任の公算が大きく、経済政策「アベノミクス」の方向性も変わらないとみられているためだ。「内閣改造について外国人投資家からの問い合わせははまったくといっていいほどない」(外資系証券エコノミスト)という。

政策の方向性が保たれること自体は安定感につながる。長期スタンスの投資家にとって政策の不透明感は最も嫌うところだ。それ自体は悪いことではない。

しかし、今の日本経済はじわりと停滞感が強まっているのが現状だ。4─6月期は駆け込み需要の反動減で落ち込むのは仕方ないとしても、7月以降の回復力は鈍い。天候不順だけでなく、物価上昇と消費増税による実質賃金の低下などがじわりと国内総生産(GDP)の6割を占める消費を圧迫している。

いま市場で求められているのは「変化」だが、現状の延長線上の政策では、大きな変化は期待しにくい。「顔ぶれが変わらなければ、政策は変えにくい。現在の政策の失敗をある意味、認めてしまうことになるためだ」とシティグループ証券・チーフエコノミストの村嶋帰一氏は指摘する。

今週から始まる各証券会社の投資家向けセミナーでも、テーマの中心は昨年のマクロから今年はミクロに変わっている。ROE重視やガバナンス強化など企業サイドの変化に興味を持つ外資系バイサイドは依然多いが、マクロ政策に関しては、投資家の関心も低下していることを示しているといえよう。

<注目は少子化担当相>

具体的な政策においても、現状の政策の延長では、手詰まり感が漂う。来年度予算の概算要求は過去最高の規模に膨らむ見通しだが、公共投資を拡大しても人手不足がボトルネックであり、予算消化は難しい。また、医療費などの社会保障関連経費が膨らみ、国債の利払い費も増えるなかで、自由に使える裁量的経費の余地は小さくなってる。

その一方で「内閣改造では地方創生など新設のポストも増えるようだ。そうなれば予算も増えるだろう。消費増税との整合性はますますとれなくなる。派閥重視、規模重視の旧態然とした自民党政治の復活を感じる。これでは日本の政治にマーケットは期待できないだろう」(IHSシニアエコノミストの田口はるみ氏)との指摘もある。

長期的な視点から人事が注目されているのは少子化対策担当相だ。「財政政策や金融政策には手詰まり感がある。少子化対策は、効果が発揮されるまでに時間がかかるかもしれないが、いまこそ長期的な視点からの対策が必要だ」(国内証券)という。

SMBC日興証券・日本担当シニアエコノミストの宮前耕也氏は「輸出企業だけでなく、小売り企業なども日本から海外に市場を求めている。それは人口が減少し、市場が小さくなるとみているからだ。いまの日本の停滞感の大元は人口問題に行き着く。少子化担当相に大物を抜擢して大胆な政策を推進すれば、マーケットの評価も高まる」と指摘している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

ReutersCopyright
copyright (C) 2017 Thomson Reuters 無断転載を禁じます

ページトップ