日経平均、移動平均線の「向き」がどうもおかしい!

5年11カ月ぶりの円安でもなぜ日経平均は重いのか

 日経平均株価は7月の高値を更新し、一時1万5800円台を回復した。ただ、気になるのは、為替市場で1ドル105円台まで円安が進み、5年11カ月ぶりの水準になったにもかかわらず日経平均株価に上値を追う気配がないことだ。チャート上では陰線が三つ並ぶ「三羽がらす」を形成し、株価が重たい状態になっているのがわかる(ちなみに三羽がらすはトレンド転換のときに出やすいとされるローソク足の組み合わせ)。

 テクニカルで考えると、一つ気になる点が浮かび上がる。それは移動平均線の向きだ。一般に株価が高値を更新している状態は、イコール上昇トレンドと考えがちだが、テクニカル分析で言う「上昇トレンド」を厳密に定義すると、株価が高値を更新しているだけではダメで、移動平均線が上向きであることも条件になるのだ。

 ところが、9月5日現在の日経平均株価の移動平均線を見ると、25日移動平均線の向きはほぼ横ばいとなっており、上向きではない。実際のチャートをご覧いただこう。

 チャートの25日移動平均線の3カ所を四角で囲んでみた。それぞれ上昇角度が異なっているのがおわかりだろうか。チャート中央の囲み部分は、株価の上昇とともに25日移動平均線も急に立ち上がっており、株価の値動きと同様に移動平均線も上昇トレンドと考えられる。その右側、7月の囲み部分は日経平均は高値を更新しているものの、移動平均線は6月の上昇角度より緩やかになっており、上昇トレンドは維持しているものの勢いが弱まっていることがうかがえる。

 問題は続く三つ目の囲み、現在の25日移動平均線の向きだ。移動平均線の上昇角度はさらに緩やかになっている。やはり高値を更新してはいるものの、移動平均線の向きからすると明確なトレンドが現れていないことになるのだ。

 こうして株価とトレンドに一見矛盾した状態が生まれる場合、その後に予測される動きは二つ。一つは価格が保てなくなって急落し短期的にトレンドが崩れる、もう一つは移動平均線が上昇し始めるまで25日移動平均線より上の水準を維持する、のどちらかだ。

 今週末にメジャーSQを控え、下落の週となるのか乗り切るか。株価動向だけでなく、25日移動平均線の向きも注視しているとおもしろい。

講師=福永博之/日本勧業角丸証券(現みずほ証券)、楽天経済研究所を経てインベストラストを設立。代表を務める。テクニカルアナリストとしてメディアへの出演、コメントなど多数。

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