“数奇な運命”の百貨店売上高

国内経済の変転とともに注目度が大きく変化

 日本百貨店協会が19日に発表した8月の全国百貨店売上高は前年同月比0.3%減となり、プラスに浮上することはできませんでした。これで5カ月連続のマイナスです。

 百貨店売上高は消費増税直後の4月に12.0%減と大幅なマイナスになった後、下落率を縮小していました。このトレンドから「8月はプラスになるのでは」との期待もありましたが、わずかながらマイナスに終わったことで、消費回復の足取りが鈍いことを示しました。

 先週は米国の連邦公開市場委員会(FOMC)、スコットランド独立をめぐる住民投票、中国ネット通販大手、アリババのニューヨーク株式市場上場など、世界中の注目する大イベントが続きましたが、いずれも無事に通過しました。その中でも特に鮮明となったのが米国景気の強さと連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な姿勢で、これを受けて株高、円安の流れが強まりました。日本のマーケットの外部環境としてはいい条件が整ったといえます。

 問題は日本国内、足元の景気です。増税の影響で落ち込んだ消費がどの程度、回復しているかが最大の関心事なので、消費動向を表す経済指標に注目が集まっています。その代表格が百貨店売上高というわけです。

 気をつけなければいけないのは、同売上高が常に消費関連指標の代表格ではないということです。バブル期には百貨店の扱う高額商品が飛ぶように売れ、それが消費や景気全体を引っ張っていたため、同売上高を見ていれば消費全体の動向を把握することができました。

 しかし、バブルが崩壊し消費が落ち込む中で、百貨店は他の業態に比べて売上高の減少幅がより大きくなり、不振が続きました。全国売上高は2012年までなんと15年も減少が続いたのです。1997年の消費税5%への引き上げによる売り上げ減少以降、一度も水面上に顔を出すことなく低迷が続いていました。

 これは消費低迷だけが原因ではありませんでした。百貨店という業態そのものが時代の変化に後れを取り、コンビニなどに押されるようになったためでもあります。いわば百貨店の地盤沈下という構造要因が背景にあったことを示しています。このため、百貨店売上高を見るだけでは消費の動向を的確につかめなくなり、景気指標としての注目度は落ちていきました。

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