リボミック上場で膨らむ「核酸医薬品」への期待

開発へのハードルは非常に高いが……

大型新薬は減少傾向だが、医薬品の一部領域では研究開発が活発化

 医薬品業界が新薬の踊り場に入って久しい。しかし、新薬開発のブレイクスルーになる有力技術の登場で再び新薬ラッシュとなる兆候もあり、期待が高まる。

 医薬品の研究開発の中で現在、注目されるのはペプチド、タンパク質、核酸など医学、生理学、生物学の分野だ。このうち、生物学的な製剤で最初に注目されたのは、胃粘膜の分泌を促すことで胃を保護するプロスタグランジンと呼ばれるホルモン製剤などだ。

 同製剤で最も有名な医薬品といえば「成長ホルモン」と「インスリン」だろう。糖尿病治療に不可欠なインスリンは、19世紀の明治2年(1869年)に発見された。遺伝子組み換えなどの技術が開発される前の時代は、ブタやウシのインスリン製剤を利用していた。しかし、ブタなどの動物の体内で合成されるインスリンは量が極めて微量。糖尿病患者1人のために何百頭もの動物のすい臓が必要になる。

 インスリン製剤の生産でブレイクスルーになったテクノロジーが遺伝子組み換え技術だ。ヒトとブタでは同じ哺乳動物でもインスリンの構造がわずかに異なる。構造的にはほぼ同様といえるが、ヒトを対象に同製剤の臨床試験を実施すると、薬効や副作用などの面でブタのそれとは決定的な差を生む。遺伝子組み換え技術はヒトのインスリンの大量生産を可能にした。

 生物学的な医薬品製剤はホルモン製剤から進化して抗体医薬品などへ進化。抗体医薬品はアミノ酸の配列で決定するタンパク質以外の物質が薬剤の効果に大きく作用することも確認されている。現在、世界中で幅広い研究開発が進む。

 抗体医薬品は医薬品メーカーの大きな開発ターゲットであり今後、タンパク質以外の作用を決定する構造についての解析が活発化しよう。タンパク質のアミノ酸の配列を決定するのは、DNAやRNAなどの「核酸」という物質だ。

 核酸そのものを医薬品にしようとの動きも加速化する。技術面からすれば、最も新しい技術革新だろう。薬剤としては一部が市場に投入されているが、本格的開発はこれからだ。

 新薬メーカーには、核酸を利用した医薬品分野の研究に軸足をシフトさせる企業も出てきた。同分野で世界初の製品は米国のファイザー製薬が投入した眼科治療薬の「マクジェン」である。眼科以外では日本新薬(4516)第一三共(4568)などが新たな新薬開発を進めており、がん治療などに適応できる可能性がある。

 バイオベンチャーでは同分野で初となるリボミック(4591)が25日に東証マザーズへ新規上場する。今まで以上に開発のハードルは高いが、「新たな技術革新」への期待が膨らむ。ビジネスとしての評価は今後の開発動向にかかっている。

ページトップ