有効求人倍率で雇用情勢をつかもう

22年ぶりの高水準まで上昇した後は足踏み状態

建設現場の人手不足感は強い(撮影:尾形文繁)

 アベノミクスによる景気回復とともに雇用情勢も改善し、最近では人手不足が指摘されるようになってきました。それは有効求人倍率の推移によく表れています。

 有効求人倍率は求職者一人当たり何件の求人数があるかを表す指標で、公共職業安定所(ハローワーク)で扱った月間有効求人数÷月間有効求職者数で算出します。月間有効求人(求職者数)とは、前月から繰り越された求人数(求職者数)に当月の新規求人数(求職者数)を合わせたものです。

 同倍率が1.0を上回っていれば求人数のほうが求職者数より多いので、それが上昇すれば雇用情勢は改善していることを表しています。逆に、1.0を下回れば求職者より求人数のほうが少ないわけで、雇用情勢が厳しいことになります。

 同倍率はリーマンショック後の2009年8月に0.42倍(季節調整値、以下同)まで落ち込みました。つまり求職者100人に対して42件の求人しかなかったのです。当時の雇用情勢がいかに悪化していたかがよくわかります。

 その後は徐々に上昇しましたが、それでもアベノミクスが始まる以前は上昇ペースが極めて緩やかで、12年11月は0.82倍にとどまっていました。しかし、アベノミクスが事実上始まった12年12月以降は上昇ペースが速まり、13年11月にはついに1.0倍を超えました。

 今年6月には19カ月連続の上昇を記録し、1.10倍に到達。これはなんと22年ぶりの高水準です。22年前と言えば1992年。バブル崩壊が始まっていたとはいえ、バブルの余韻も色濃く残っていた時期です。つまり、今の水準はそれほど雇用情勢がよくなっていることを意味しているのです。

 こうした中で、問題になり始めたのが人手不足です。企業にとって必要な人手を確保できない例があちこちで表面化しています。

 8月の有効求人倍率を都道府県別に見ると、東京都は1.62倍、愛知県は1.52倍と全国平均を大幅に上回り、震災復興の建設工事などが進んでいる福島県では1.41倍、宮城県でも1.24倍と人手不足感が強くなっています。

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