日銀に「ハロウィーン緩和」を決断させた消費者物価指数って何?

伸び率鈍化で2%の目標達成は困難な状況

岡田 晃
追加金融緩和措置を発表する日銀の黒田東彦総裁(撮影:今井康一)

 日銀が予想外の追加緩和に踏み切り、世界中を驚かせました。この突然の決断の背景には消費者物価指数の上昇鈍化がありました。

 日銀は2013年4月、デフレ脱却のために「消費者物価上昇率2%を2年程度で達成する」との目標を掲げて量的・質的緩和を打ち出しました。その効果もあって、下落が続いていた消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)は同年6月からプラスに転じ、今年4月には前年同月比1.5%(消費増税による影響分を除く)まで拡大していました。

 しかし、増税の影響などで消費低迷が長引く中、同上昇率は5月に1.4%、6月と7月は1.3%、8月は1.1%と頭打ち傾向になり、ちょうど今回の追加緩和を決めた10月31日の朝に発表された9月の上昇率はついに1.0%まで伸びが鈍化しました。

 物価上昇について日銀はこれまで、消費増税の影響による多少の鈍化は想定していましたが、実際の足取りは予想以上に鈍く、このままでは目標達成は困難な見通しとなっていました。

 報道ベースによると、同月31日午後に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の原案段階で15年度の物価上昇率が1%台半ば止まりとなり、このままでは2%の目標達成は困難として急きょ、追加緩和を決断したということです。

 消費者物価指数は日銀の政策を左右するほどの影響力を持っています。もともと同指数は多くの人にとって身近なデータですが、同時に最も政策決定に深くかかわる経済指標にもなっているのです。

 特に日本経済にとってデフレ脱却が最重要テーマとなっている現在、同指数をしっかり見ることは従来以上に重要です。バブル崩壊後の動きを振り返ると、1993年度以降、急速に上昇率が鈍り、95年度には生鮮食品を除くベースでゼロまで低下しました。

 97年度は消費税引き上げの影響で2%上昇となったものの、98年度以降はマイナスを記録し、それ以降は12年度までマイナス傾向が続いていました。つまり十数年にわたってデフレの状態だったわけです。

 まさにこれが日本経済低迷の最大の原因となっていたもので、だからこそ日銀はデフレ脱却のため、「物価上昇率2%」という目標を打ち出したのです。

 上のグラフを見ると、05~07年度はわずかながらプラスとなっており、08年度の上昇率は1.2%(いずれも生鮮食品を除く)となっています。「これだとデフレだったとは言えないのではないか」と思う人もいるかもしれません。

 ただ、もう1本の折れ線グラフ、「食料とエネルギーを除く指数」は05~07年度もマイナスで、08年度もゼロにとどまっています。この時期は原油価格が高騰しており、それによる影響を除くと、物価はまったく上昇していなかったのです。つまりデフレは続いていました。

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