アングル:規制緩和がカギ握る日本の新たな「ロボット革命」

ロイター
11月20日、ロボットは日本の技術的優位性がまだ残されている分野の1つだが、現在は他国に猛追され、その牙城が脅かされつつあることに関係者は危機感を強めている。写真はロボットベンチャー企業CYBERDYNEが開発したロボットスーツ「HAL」。つくば市で7月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 20日 ロイター] - 世界屈指の「ロボット大国」日本。ロボットは日本の技術的優位性がまだ残されている分野の1つでもある。しかし今、米国やドイツ、韓国や中国などに猛追され、その牙城が脅かされつつあることに関係者は危機感を強めている。

信州大学医学部付属病院の脳神経外科医、後藤哲哉氏はかつて、7年越しで進めていた手術支援ロボットの試験を始めた矢先に、政府がロボットの規制強化に向かっていることを知った。

それから十数年、後藤氏は国産ロボットが試作機さえ日の目を見ることができないなか、ライバルである米国製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」が米規制当局に承認され、商業的成功を収めているのを悔しい思いで見てきた。

ロボットの活躍の場が工場から一般家庭、病院や店舗、紛争地帯に広がる中、日本の当局者らは現在、研究者からイノベーションの阻害要因だと批判される各種規制を改めることで、新たな「ロボット革命」を後押ししようとしている。

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ロボット・機械システム部の主任研究員、真野敦史氏は「日本の競争力の源泉をロボットが担えると思っている」と語る。

NEDOは、川崎重工業<7012.T>やパナソニック<6752.T>などに委託し、膵臓腫瘍の摘出など、ダヴィンチよりも複雑な作業が可能な内視鏡手術ロボットの開発を始めている。NEDOは総事業費約50億円をかけ、「未来医療を実現する先端医療機器・システムの研究開発」プロジェクトに着手。2019年までの臨床試験を目指しており、同ロボット開発はその一環だ。

国際ロボット連盟によると、急成長している産業用ロボットシステムの市場規模は、世界で年間290億ドル(約3兆4500億円)だという。

安倍晋三首相は新成長戦略を発表した今年6月、規制緩和などで日本のロボット市場は2020年までに3倍に拡大し、2.4兆円に達する見通しだと語った。

医療用ロボットは市場規模こそまだ小さいが、大きな可能性を秘めており、日本では10年以内に産業用ロボットを上回るとみられている。

新たな手術支援ロボットの開発は、後藤氏が規制の壁にぶつかった当時と比べれば、障害は少ないはずだ。

「当局は(2005年施行の)薬事法改正が医療機器参入の障害になったとは言わないが、われわれのような研究者や企業は、これにより日本の研究がストップしたと捉えている」と後藤氏は語った。

安倍首相は規制緩和と構造改革を約束しているが、過去2年にわたる政策は行き詰まりを見せており、来月にはアベノミクスが最大の争点になりそうな総選挙が行われる。

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