四季報【指標】欄で読み解くソフトバンク株「5年で15倍」の秘密

あれから17年、68冊を読破した男の「深イイ話」ー(27)

渡部 清二
リーマンショックで株価が636円のどん底をつけた2008年10月当時のソフトバンク第2四半期決算説明会。ここから5年後に株価は15倍に(撮影:風間仁一郎)

 今回は【指標等】欄について書きたい。この欄には以下の数字が記載されている。要チェックのものには◎印をつけた。

ROE
ROA
調整1株益
最高純益
設備投資
減価償却
研究開発

 まずはROEとROAについてである。この指標を語る時には、必ずバランスシートの話が絡んでくる。バランスシートについては、前回と前々回のコラムですでに十分ご理解いただけたという前提で話を進めたいと思う。

嫁と姑の関係

 ROEおよびROAの数式は以下のとおりである。

ROE(Return On Equity=自己資本利益率、%)=純利益÷自己資本×100
ROA(Return On Assets=総資産利益率、%) =純利益÷総資産×100

 ではこの指標が何を意味するかだが、ROEは自己資本に対する利益率であり、ROAは総資産に対する利益率で、共に収益性や効率性を表すものだ。たとえば次のケースで具体的に考えてみたい。

非常に堅実なAさんは、自己資本1億円、無借金で土地を購入し、畑として人に貸して、年間1000万円の地代をもらった。

 AさんのROEは純利益1000万円(地代:話を単純化するためこれを純利益とする)を自己資本1億円で割るので10%となり、またROAも同様に、純利益1000万円(地代)を総資産1億円で割るので10%となる。

一方、拡大志向の強いBさんは、自己資本1億円に加え、銀行から2億円を借り入れ、合計3億円で土地を購入した。

 バランスシートは自己資本が1億円、負債が2億円、そして総資産が3億円になる。

 Aさんと同様に畑として人に貸したが、土地の広さがAさんの3倍あるため、地代もAさんの3倍の年間3000万円をもらった。しかし借り入れの金利、年間1500万円がコストとしてかかった。とすると、純利益は地代3000万円から金利分1500万円を差し引いた1500万円になる。

 BさんのROEは純利益1500万円を自己資本1億円で割るので、Aさんの10%を上回る15%になる。しかしROAは純利益1500万円を総資産3億円で割るので、Aさんの10%を下回る5%になる。

 このようにROEを上げればROAは下がることになり、ROAを上げればROEが下がることになる。つまりROEとROAの関係は、「あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず」の関係にある(またも男性陣から「これは嫁と姑の話ですか」と聞かれそうだが……)。

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