日化協の小林会長、「原油急落で一段の緩和なければ物価上昇率2%は難しい」

原油価格低迷は1~3月も続く

山内 哲夫
会見する小林喜光会長(写真右)

 日本化学工業協会(日化協)の小林喜光会長(三菱ケミカルホールディングス社長)は12月19日に定例会見を開催。「足元の現状認識について、原油安は交易条件がよくなる」と歓迎する一方、物価の下落懸念についても語った。

 小林会長による定例会見は3カ月に1回開催されているが、今回は経済産業省から出された石化再編の必要性を説いたレポートについても自身の考えを話し、この間に起きた原油価格の急落の影響についても答えた。

 経産省のレポートについては、「経産省をコアにして石油化学各社が集まって勉強会を続けてきた」と語り、「すでに3社が中心になって減産、閉鎖しており、16年までは現状の90%以上という採算に合う稼働率は維持できる」と、エチレンプラントの好稼働が続く見通しを示した。

 エチレンプラントの閉鎖は「決めてから実際に止まるまで3~4年かかる。そう先の話ではないと考えて対応していくべきだ」とも語ったが、足元の原油安で状況が変わっている点についても言及。「今年の初めに原油が40~50ドルになるなんて誰が予想できたか。何でも単純にこれはだめだからすぐ止めるというわけにもいかないし、そうはいってものんびりしているとえらいことになる」とジレンマも吐露した。

 欧米で進む大規模な再編については、「株主資本主義の権化のような経営をしている」と距離を置き、「ヘキストのように株主はいい思いしたが会社がなくなった」と否定的だった。そして、「日本の場合は株主だけでなく従業員もサプライヤーもいい、近江商人の三方よしのような経営を目指したい」と理解を求めた。

 足元の経営環境については、今1~3月の駆け込み需要の反動減は小さく「4~6月、7~9月は思ったよりよかった」とし、川上の産業は消費財企業などに比べて、その反応が鈍く効いてくるという見解を示した。むしろ大きいのは原油安。在庫の受け払い差などを含めて、ここ11、12月、OPECが減産をしないと決断してからの急落影響は大きいと語った。また、五つの樹脂類の売り上げが昨年を下回っている点に懸念を示した。

 原油価格については、「シェールの平均コストは75ドルなので、ここまで下がったら止まるだろうと思ったが、50ドルになってしまった」と驚きを隠さず、1、2、3月でも完全に下げ止まらないだろうという見方を示した。ただ、原油安は「全体としてみれば交易条件はめちゃくちゃよくなる」と条件が改善することを歓迎。その一方で、「物価は下がるので、金融政策上、もう一段の緩和をしなければ物価上昇率2%達成は難しくなる」と金融政策の難しさにも理解を見せていた。

 なお、会見翌日に報道された「小林社長が会長に退く」という三菱ケミカルホールディングスの社長交代について、関連するコメントはなかった。

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