貿易統計から日本と世界の景気の変化をつかむ

輸出持ち直しの兆しに注目しよう

岡田 晃
11月の貿易収支は2年5カ月連続の赤字だったが…(写真:Imasia)

 財務省がこのほど発表した11月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は8918億円の赤字になりました。これで赤字は2年5カ月連続となりましたが、赤字幅は前年同月比で31.5%縮小しました。赤字幅縮小は2カ月連続です。この主な理由は輸出が3カ月連続で増加したこと、原油安で輸入額が減ったことの二つです。

 貿易収支と言えば、日本はかつて大幅な黒字が当たり前でした。ところが、2011年3月の福島原発事故ですべての原発の操業がストップした結果、電力供給を火力発電に依存するようになったため、その原料である原油の輸入が急増し、貿易収支は赤字へ転落しました。

 貿易赤字は外国為替市場では円売り要因として意識されるようになり、これが円安定着の一因にもなっています。毎月発表される貿易統計でも貿易赤字額に注目が集まるようになりました。この基調は今も続いています。

 ただ、貿易統計の中身をよく見ると、最近は少し変化が見られます。その一つが原油安による輸入減少です。火力依存という電力事情は変わりませんが、原油価格が大幅に下落しているため、輸入金額が減少。その影響で赤字額が縮小傾向になっているのです。

 貿易赤字が円安の一因になっていることから、赤字を歓迎する声もありますが、日本国外に出ていくカネのほうが多いことを意味するのだから、日本経済にとっては本来、マイナスです。それだけに、最大の輸入品である原油の値下がりで赤字が縮小しているのは日本経済に大きなプラスです。原油価格下落は続きそうな情勢なので、この傾向は当分変わらないでしょう。

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