「残酷な20年後」を見据えて投資するということ

プライベート・エクイティ投資家に聞いた長期変化への備え

島 大輔
インフィニティの岩崎日出俊代表(撮影:今井康一)
 今後20年間で世界の人口は15億人も増加する。それは中国一国が新たにこの地球上に出現するに等しい。一方で、日本を襲うのは恐怖の人口減少。それは現在の東京都が全部消滅してしまうに等しいものであるーー(『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』岩崎日出俊著・ソフトバンククリエイティブ刊)

 これから先の世界を見通し、その変化に対応していかに働くべきかについてまとめた『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』。米国の研究者キャシー・デビッドソンが「20数年後には、65%の人が今は存在していない仕事に就く時代が来る」と指摘しているように、これからの20年で大変革が起きる。日本では、若者世代が払う社会保険料や税金が高齢層の年金や医療費に消え、勤労世代がいくら働いても余裕を感じることのできない「残酷な」社会の到来も予想される。そうした中で個人投資家はどのような行動を取るべきなのか。著者である投資・経営コンサルティング会社インフィニティの岩崎日出俊代表に、中長期の変化を見据えた投資の心得を聞いた。


ーー20年後の大きな変化として、人口動態のインパクトを指摘されています。具体的に日本企業にどのような影響が出てくると考えていますか?

 20年後には日本の人口が大きく減少すると予想される。そのため、国内市場だけに特化している企業や業界は難しくなっていくだろう。たとえば予備校や私立学校など教育関係がそうだし、住宅関係も空き家が増えていくことにどう対処していくか求められる。もちろん、予備校でも早くから校舎撤退を着々と進めた代々木ゼミナールのように、いち早くこの問題に向き合っている企業もある。業界全体が縮小していく中で、一部の企業が残存者利益を享受するということもあるかもしれない。

 一方で、世界銀行が発表している人口予測によると、世界の人口は72億人から87億人になるとみられている。世界規模で15億人も人口が増えることになれば、海外売上比率の高い企業や業界には追い風だ。トヨタ自動車など自動車業界はそうだろう。もちろん、世界市場での厳しい競争に勝ち抜いていくことが必要だ。自動車であればフォルクスワーゲンやGMとの競争があるし、20年後にはグーグルが最大の競争相手になっているかもしれない。変化にきちんと対応して自らの強みを発揮していけば、より成長していける企業は日本にもたくさんある。いずれにせよ、多くの企業が日本のマーケットだけに立脚した会社ではなくなっていくことには変わりはないだろう。

ーー自動車以外にも中期的に有望な業界はありますか。

 エレクトロニクス業界も海外売上高比率が高いという点では同じだ。しかし、最近では海外勢との競争で押されている面もある。電子部品などは存在感がいまだ大きいとはいえ、利益の多くは最終製品を販売するアップルのような企業が握っているような状況だ。アップルに取って代わるような企業が日本から出てくることが大切だろう。また、半導体などもかつては日本が強みを持っていた業界だが、韓国、台湾、中国などアジア勢の台頭で厳しくなっている。

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