株式市場で話題の「水素社会」って何だろう?

2020年の東京五輪開催に向けて取り組み加速も

岡野 武志
トヨタ自動車は燃料電池車「MIRAI」を昨年12月に投入(撮影:梅谷秀司)

 地球上に大量に存在する水素を有効に活用できれば、地球温暖化の抑制に貢献できる可能性があります。水素の化学反応によって発電する「燃料電池」は、小規模でも発電効率が高く、利用時にCO2を排出しないため、分散型の電源として期待されています。

 経済産業省は2014年6月に水素社会の実現へ向けた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を取りまとめました。水素利用の拡大や水素供給システムの確立、再生可能エネルギーを用いた 「CO2 フリー」の水素供給などについて目指すべき道を示しています。

 日本は世界に先駆けて家庭用燃料電池(エネファーム)の商用化を進めてきました。エネファームは、都市ガス・LP ガスから取り出した水素と、空気中の酸素を化学反応させて電気と熱を発生させる仕組みです。エネルギーのロスが少なく、CO2排出削減に役立つとされています。ロードマップには20 年に140 万台、30 年に530 万台を普及させるという目標が掲げられました。

 燃料電池自動車は、自動車の動力に燃料電池の電力とモーターを使用するもので、電気自動車(EV)の一種といえます。同自動車には小型から大型まで多様な用途に対応できるという特徴があり、乗用車だけでなくバスやフォークリフトなどへの利用拡大も期待されています。水素を供給する水素ステーションの整備や購入しやすい車体価格の実現などの課題もありますが、その解決に向けた取り組みがさまざまな角度から進められています。

 水素は水の電気分解によって発生させることができるため、使用量が少ない時間帯の電力を水素にして「蓄電」し、需要が多い時間帯に電力として取り出すことも可能です。再生可能エネルギーの導入が進む欧州では、風力発電などの電力から水素を作って利用するケースも見られます。電力を水素にして貯めておく仕組みは、災害時の非常用電源などとしても利用できるため、さまざまな用途での活用が有望視されています。

 水素社会の実現は遠い先の話のようにも感じられますが、すでに燃料電池自動車の販売が開始され、商用の水素ステーションも始動しています。20年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて具現化の動きがさらに速まることもありうるでしょう。以下のリンク先は、水素社会への取り組みなどをまとめたリポートです。この機会に、水素や水素社会について、知識や理解を深めてみてはいかがでしょうか。

大和総研 環境調査部長 岡野武志

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