焦点:ECBの具体策に注目、「何でも行う」決意試される正念場

22日に理事会を開催

ロイター
 1月18日、ECBは今週開催する理事会で、ユーロを防御するため「何でも行う」という決意が試される重要な局面を迎える。写真はドラギ総裁、2014年12月撮影(2015年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[ロンドン 18日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は今週22日に開催する理事会で、デフレ阻止と経済再生に向け政府債の買い入れを決定するとみられており、ユーロを防御するため「何でも行う(whatever it takes)」という決意が試される重要な局面を迎える。

先週には、欧州司法裁判所の法務官が、ECBの無制限債券買い入れ策「OMT」について合法との見解を示した。また、スイス国立銀行(中央銀行)がスイスフランの対ユーロ相場に設けていた上限を撤廃し、ユーロが急落。量的緩和(QE)への道が開かれたが、ドイツからの強い反発が足かせになる可能性もある。

焦点はもはや、ECBが国債を買い入れるかどうかではなく、買い入れプログラムの具体的な詳細がどうなるかや、それが信頼できる十分なものと受け止められるかどうかに移っている。

懸念されるリスクは、ECBの措置が十分でなく、市場に誤ったシグナルを送り、信認が揺らぐことだ。

ECBのドラギ総裁が先週、ドイツのメルケル首相と非公式会談を行ったというニュースは、政府債買い入れの決定が政治的に慎重を期するテーマであることを浮き彫りにしている。

一部のQE支持者は、ドイツに譲歩するあまり、プログラムの規模が制限され、格付けの低い国が除外されてリスクが全体で共有されない可能性を懸念している。

ECB関係筋が明らかにした素案によると、買い入れプログラムは上限が5000億ユーロになる見通し。これについて一部の市場アナリストは、ECBが目標を達成するには2倍の規模、あるいは達成までオープンエンドで行う必要があると指摘する。

ドラギ総裁は理事会で過半数の支持を得ているが、ドイツ連銀のワイトマン総裁とドイツ出身のラウテンシュレーガー専務理事の2人はQEに反対票を投じるとみられており、他の理事もこれに加わる可能性がある。

ECB関係筋によると、真剣に検討されている選択肢の1つは、買い入れた債券についてユーロ圏19カ国の中銀が、自国分のすべて、あるいはほとんどのデフォルト(債務不履行)リスクを負担するというものだという。

これに関して、欧州の有力シンクタンク、ブリューゲルのディレクター、グントラム・ウルフ氏は「効果は得られず、最悪の場合、危険でもある」と指摘。「ECBはもはや『連帯』機関ではないという強いシグナルを送ることになる」との見方を示した。

ドラギ総裁は、欧州司法裁判所の法務官が、ECBの無制限債券買い入れについて合法との見解を示したことで、大胆な措置への道が開かれた。

法務官は、買い入れプログラムに制限を設けることは効果を損ねると指摘。債務再編の際にECBに他の債権者に優先する地位を与えるべきではなく、低格付け国債の買い入れも規則違反ではないとの見解を示した。

こうした状況は、ドラギ総裁にすべてのユーロ圏加盟国の債券を、ECBへの出資割合に応じて買い入れることを可能にするが、政治的に阻まれる可能性がある。

2つの効果

エコノミストはQEの経済再生・物価押し上げ効果について2つのタイプがあると指摘する。それは「シグナリング効果」と「ポートフォリオ効果」だ。

前者は目標達成のために無制限の措置を取るというECBの決意について市場に明確なメッセージを送るもので、米連邦準備理事会(FRB)がよく例に挙げられる。

後者は、中銀が銀行や保険会社、年金基金などから債券を買い入れ、これらの機関が株式や社債など、比較的高利回りの資産に再投資するメカニズムだ。これらの機関の再投資はユーロ圏外の資産になることが多く、為替相場を押し下げ、輸出を割安に、輸入を割高にすることでインフレ率が押し上げられる。

ユーロは2014年5月の1ユーロ=1.40ドル近辺から、先週16日には1.15ドルに急落した。ECBがQEに踏み切るとの見方が広がるなか、ユーロの下落ペースは加速している。

先週はスイス中銀が、スイスフランの対ユーロ相場に設けていた上限を突如撤廃。ユーロが全面安となり、一部の銀行や証券会社は巨額の損失を被った。こうした事態は、中央銀行にとって、混乱する市場を落ち着かせることがどれほど困難で、長年積み上げてきた市場の信認がどれほど容易にリスクにさらされるかを示している。

このことは、ECBが16年の歴史において最も厳しい決断の1つを検討するなか、教訓となるだろう。

(Paul Taylor記者)
 

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