サイジニア・吉井社長「ネットからリアルへの流れをうまく取り込みたい」

新規公開企業のトップにナマの声を聞く連載第13弾

角田 佐哉香

 「IPO会社の社長に聞きた~い!」インタビューならびに構成、原稿執筆を担当する角田佐哉香です。今回登場するのは昨年12月19日に東証マザーズへ上場したサイジニア(6031)の吉井伸一郎社長です。東京・大井町にある本社へお邪魔しました。

 ネット上で商品を買おうと電子商取引(EC)のサイトにアクセスすると、「おすすめ」として関連の商品が表示されていることがよくあります。サイジニアが手掛けているのはこうしたサービス。具体的には、利用者のネット閲覧履歴や購入履歴に基づいて将来の購買行動を予測し、お薦め商品やネット広告を配信しています。

 その基本にあるのは「パーソナライズ」という手法。利用者が検索して、欲しい物を探し出すのではなく、一人ひとりの利用者の嗜好に応じて商品や広告の表示が変わるというやり方です。

 同社の株価は上場当日に公開価格2560円の約2.3倍の5780円で初値がつきました。その後、12月22日の取引時間中の4135円をボトムに急上昇。年が明けて1月13日には1万6330円をつける場面もありましたが、ここへきて再び1万円を割り込むなど荒い値動き。26日の終値は9740円でした。

 足元は短期売買主導の色合いが濃い展開。中長期の観点で投資対象になりうるかを判断するには、トップの経営方針などにじっくりと耳を傾ける必要がありそうです。

サイジニアは2005年に有限会社として設立。北海道大学大学院情報科学研究科で助教授を務めていた吉井社長が研究室のメンバーとともに立ち上げた。同社のサービスは、同社長が研究してきた「複雑ネットワーク理論」が基盤になっている。同理論はネットワークを使って利用者の行動パターンを分析し、「共通項」を見つけ出すというもの。たとえば、「セーターを買う人は、次にスカートを購入するだろう」といった具合だ。

グーグル創業はたった1本の論文が端緒だった

 ーー起業して、大学での研究を実用化しようと思い立ったのはなぜですか。

よしい・しんいちろう●日本学術振興会特別研究員、ソフトバンク・コマース(現ソフトバンクBB)情報システム本部研究開発センター長などを歴任し、2004年北海道大学大学院情報科学研究科複雑系工学講座助教授。07年サイジニア社長に就任、現在に至る。

 研究していたITの技術を実際に使ってみなければ、その真価がわからないと思ったからです。その一つのきっかけがグーグルの存在。世界中で使われているサービスですが、もともとは二人の創業者による論文が端緒となり、何十億人が利用する検索エンジンが出来上がってしまった。

 論文の数で成果を評価するのではなく、実際に「ユーザーがどれだけ使ってくれるか」という基準で評価するほうが技術の真価がわかるのではないかと思い、大学を辞めて会社を作ろうということになりました。

 ーーソフトバンクが大株主に名を連ねています。

 「自分の研究を実用化してみないか」との話をもらい、ソフトバンクグループの企業に入りました。ただ、入社後、すぐにADSL(非対称デジタル加入者線)事業「Yahoo!BB」が始動し、同事業の技術開発の研究部隊に配置されました。そのときの縁で出資をしてもらっています。

 ーーソフトバンクの孫正義社長といえば、ヤフーや中国のEC大手アリババへの出資など、ベンチャー投資の目利き力には一定の評価がありますね。

 ソフトバンクはECの分野でもさまざまな関係を構築しているので……。

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サイジニア (6031)

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