インド経済は「巨象」の勢いを取り戻せるか

原油安がモディノミクスに拍車

鈴木 雅幸
「行政の魔術師」の異名を持つナレンドラ・モディ首相の元でインド経済は勢いを取り戻せるか(マルチ・スズキのグルガオン工場)

 原油安を起因に、新興国の利下げドミノが始まったーー。

 昨年11月の中国に続き、1月に入ってインドやトルコで相次いで利下げが発表された。昨年来の原油安に伴うインフレ率の低下が背景にある。今後も韓国、タイ、フィリピンなど原油輸入新興国を中心に、利下げへの動きが表れそうだ。インフレ率の落ち着きが減速傾向にあった新興国の景気刺激につながることは間違いないが、新興国の経済事情はそれだけで活性化するほど単純ではない。

 新興国にとって気になる大きな動きは、欧州ECBが1月22日に事前予想を上回る量的金融緩和策を打ち出したことだ。欧州危機の再来をひとまずは“安全弁”でふさいだ形だが、欧州QEがもたらすユーロ安は、欧州地域を輸出相手国とする新興国には交易条件の悪化につながる。世界経済にとって、部分最適が全体最適をもたらさないのだ。このことは、歴史的に欧州との関係が強い、世界で2番目の人口大国インドにとっても景気の撹乱要因の一つとなる。

 インド準備銀行は1月15日、緊急の金融政策委員会を開き、政策金利であるレポ金利とリバースレポ金利を25ベーシスポイント引き下げ、それぞれ7.75%と6.75%とした。金融緩和は約1年半ぶりだ。

 昨年12月の消費者物価は前年同月比プラス5%と前月(プラス4.38%)から加速したものの、前月比ではマイナス0.41%と10カ月ぶりに下落に転じた。卸売物価も低水準を推移している。「原油安を背景にした燃料価格の下落が運輸・物流関連の物価下落に効いているほか、野菜や果物など生鮮品を中心とした食料品価格の下落もインフレ圧力の後退につながった」(第一生命経済研究所・西濱徹主任エコノミスト)ようだ。

 

  • コラムを順に読む

ページトップ