貿易赤字、縮小傾向が鮮明に

輸出持ち直しと原油安が大きく寄与

岡田 晃
2014年12月の貿易赤字は前年同月比ほぼ半減(写真:Imasia)

 今回は再び貿易統計を取り上げます。この連載で以前、同統計について「輸出の持ち直しの兆し、原油安による貿易赤字縮小傾向の二つの変化に注目しよう」と書きました(「貿易統計から日本と世界の景気の変化をつかむ」2014年12月24日付)。財務省がこのほど発表した14年12月の結果は、その二つの変化がより一段と鮮明になっていることを示しました。

 まず「輸出の持ち直し」です。財務省の発表によると、12月の輸出額は前年同月比12.8%増と4カ月連続で増加しました。特に注目すべきは伸び率が拡大したことで、2ケタの伸びは1年ぶりです。円安にもかかわらず輸出があまり伸びない状態が続いていましたが、ようやく円安効果が出てきたとみていいでしょう。

 品目別では自動車(前年同月比12.5%増)、電子部品(17.8%増)、鉄鋼(11.7%増)の三つの増加率が大きくなっています。国・地域別では米国向けが23.7%と大幅に増加しており、まさに日本の輸出増の典型的なパターンが戻ってきた印象です。

 輸出の持ち直しは金額だけでなく、数量でも確認することができます。財務省が同時に発表している貿易指数をみると、14年12月の輸出数量は前年同月比3.9%増の95.1(10年=100)でした。最近の推移はグラフのとおりですが、14年12月24日のコラムに掲載した同年11月段階までのグラフに比べると、回復基調が一段とはっきりしているのがわかります。全体としては、少なくとも「輸出は底入れした」とみていいでしょう。

 景気は14年の消費増税以後、低迷が続いていましたが、先日発表された同年12月の鉱工業生産指数も上昇しており、生産全体に持ち直しの動きが見られます。これには輸出の回復も貢献しているとみられます。輸出企業には、最近の円安に対応して生産の一部を海外から国内に移して国内生産を増やす動きもみられます。これがやがて輸出の増加という形で表れてくるでしょう。

 ただ、懸念もあります。欧州向け、中国向けは依然として低い伸びにとどまっており、両地域の先行きは不透明です。原油安による株価の乱高下、地政学リスクの高まりなど波乱要因も多く、世界経済の先行きには注意が必要です。

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