ドルロングの調整継続、米雇用統計は上振れより下振れに警戒

むしろ注目は時間当たり賃金

ロイター
2月6日、1月米雇用統計は上振れよりも下振れが警戒されている。ドルロングの調整局面が続いているためで、市場が注目する時間当たり賃金などが悪化すれば、ドル安・円高が進みやすいという。都内で昨年11月撮影(2015年 ロイター/ISSEI KATO)

[東京 6日 ロイター] - 6日に発表される1月米雇用統計は、上振れよりも下振れが警戒されている。ドルロングの調整局面が続いているためで、市場が注目する時間当たり賃金などが悪化すれば、ドル安・円高が進みやすいという。利上げ時期の後ずれ観測を好感するのではなく、景気減速を懸念して米株が下落すれば、日本株にはダブルパンチとなる。

投機筋のドルロングは依然高水準

外為市場では、ドルロングの調整が続いている。5日の米市場では、株価が上昇し、金利も上昇したにもかかわらず、ドル・インデックス<.DXY>が下落した。「ユーロのショートカバーの影響もあるが、ドルロング解消も継続しているようだ」(国内証券)という。

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表するIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組によると、主要6通貨(円、ユーロ、ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)に対する投機筋のドル買い越し額は、1月27日までの週で442億8000万ドル。

前週の462億2000万ドルから減少したが、5週連続で400億ドルを上回っている。過去最高のピークを付けた昨年11月25日時点の481億ドルからほとんど減っていない。「金融緩和ブーム」が世界に広がる中で、米国は金融引き締めを視界に入れている数少ない国であり、将来の金利上昇を見据えたドル買いが根強いためだ。

ただ、ここにきて米国の企業決算や経済指標が若干減速。「原油安効果などで年後半の米景気は持ち直すとのシナリオに変化はないが、足元は弱いデータも出てきたことでいったんポジションを調整しようという動きになっている」(IG証券・マーケットアナリストの石川順一氏)という。

下振れの「覚悟」も

ロイター調査では、1月米雇用統計での非農業部門雇用者数は、前月比23万4000人増と12月の25万2000人増から鈍化すると予想されている。失業率は変わらずの5.6%と予想している。

1月のADP全米雇用報告や新規失業保険申請件数など事前のデータがやや弱めだったことで「下振れの覚悟はできている。現時点の市場予想として、20万人付近まで目線が下がっているのではないか」(外資系証券)との指摘もある。

注目されるのは時間当たり賃金だ。前月は前月比0.2%低下と、予想外のマイナスとなり、米株安・ドル安要因となった。原油安の影響もあって、3連休を挟んだ翌営業日の日経平均<.N225>は一時360円を超える下落を記録した。

今回もマイナスとなれば、ディスインフレ懸念がさらに強くなるが、エコノミストからは「前月の賃金のデータは季節調整の歪みなどテクニカル的な影響が出た可能性が大きい。米景気はしっかりしており、賃金上昇の大きな流れは変わらないし、米金融政策の方向性も変わらない」(アライアンス・バーンスタインの村上尚己氏)といった見方が出ている。

米景気の減速は利上げ時期の後退観測につながるため、株式などリスク資産市場にとって悪材料ばかりというわけではない。ただ、ドルなどロング方向にポジションが傾いているため、リスクオフ方向の動きが出やすいことには警戒が必要だろう。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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