MRT・馬場社長「売り上げは『自然増』でも年10%伸びる」

新規公開企業のトップにナマの声を聞く連載第14弾

角田 佐哉香

 「IPO会社の社長に聞きた~い!」。インタビューならびに取材後記の執筆を担当する角田佐哉香です。今回は昨年12月26日に東証マザーズへ上場したMRT (6034)の馬場稔正社長が登場します。

 同社は非常勤医師の紹介サイトを運営しています。インターネットを活用して、医療機関との「橋渡し」を行い、「マッチング」に応じて医療機関から受け取る手数料が主な収益源になっています。

 上場当日は買い気配のまま売買が成立せず、翌営業日の29日に公開価格(800円)の約4.1倍の3275円で初値を形成しました。今年1月7日の取引時間中には4685円まで買い進まれましたが、その後は軟調に推移。先週末6日には一時、1998円まで売り込まれました。同日終値は2020円です。

 新興株市場のネット関連株にはMRTと似たような価格形成を強いられる銘柄が少なくありません。株価の先高期待を強めるためにトップはどのような成長シナリオをマーケットに提示しようとしているのでしょうか。

(編集部)
MRTは有限会社「メディカルリサーチアンドテクノロジー」社として2000年に設立。東京大学医学部附属病院の医師の互助組織を母体に、ネットを活用し、担当の医師に代わって診察する「代診」を相互に紹介する仕組みをシステム化した。主力のサービスは「Gaikin」。現在、ほかの医療機関で非常勤(外勤)を希望する医師約1万5000人を会員として抱えており、求人側の医療機関に紹介を行う。同サービスを受けるためには医療機関も会員登録をする必要がある。14年3月期の非常勤医師紹介件数は9万件余りに達した。

非常勤紹介への参入障壁は非常に高い

 ーー非常勤医師の紹介サービスの現状を詳しく聞かせてください。

ばば・としまさ●1994年日本医療サービス入社。2002年5月にメディカルリサーチアンドテクノロジー(現MRT)へ入社し、同年6月に取締役。10年に社長就任、現在に至る。

 今の医療業界になくてはならないインフラだと思っています。医療機関側はWeb上で24時間、リアルタイムで求人情報を出すことができる。医師もそれを自由に選ぶことができます。1日当たりの「マッチング」の件数は多いときで400超を数えます。

 全国の医師の数は約30万人といわれています。厚生労働省の統計によれば、患者数は外来と入院を合わせて約860万人。一人当たり30人ぐらいの診察を行っている計算です。つまり、マッチングが400件であれば、1万2000人ぐらいの患者に対応していることになります。

 ーー全国に30万人の医師がいるにもかかわらず、会員数が1万5000人ではちょっと少ない気もします。

 外勤を希望する人材が市場へ本格的に出てくるのはこれからだと思っています。人材を確保しているのは各大学病院の医局(編集部注:教授を中心とした医師同士の相互扶助組織)。医局が手放さないかぎりは市場に出てきません。

 一般的な医療機関は人材会社に紹介を頼むはずがない。というのも、多くの医療機関は大学病院となんらかの関係があり、外勤の医師は系列病院などの医局から派遣されてくるからです。患者への対応も同じ。プライマリーケアーはクリニックで受け、重い症状になったら系列の大学病院で受診するといった具合です。それゆえ、外勤紹介に対する需要がさほど伸びなかった。

 しかし、(出身大学以外でも研修が受けられるようになった)医師臨床研修制度が2004年に施行された。それを受けて、「10年程度経過すれば、外勤の希望医師の市場もかなり大きくなるだろう」との見通しを立てていました。そうした計画に沿って、事業を運営してきました。

 ーー他社の参入障壁は低くないのですか。

 人材ビジネスの障壁は低いが、医師向けの外勤紹介サービスに関しては非常に高いと考えています。医療ミスに直結する可能性があるからです。「レピュテーションリスク」が決して小さくありません。

 手数料もそれほど高くはない。マッチングに伴い、医師が得られる時給の10%を当社が受け取る仕組みで、1件当たり6000円程度です。ほかの企業が狙っているのはむしろ医師の転職サポートの市場。1件当たりの額は300万円ぐらいに達しています。当社はそこにはフォーカスしていません。

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MRT (6034)

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