株価以外にもじわりと広がる量的緩和効果

徐々に伸びるマネーストックと銀行貸出

岡田 晃
「量的緩和でも金融機関におカネが滞留するだけ」との批判もあったが…(撮影:今井康一)

 日銀がいわゆる異次元緩和に踏み切ってから、まもなく2年がたちます。今回は、金融緩和によっておカネが民間にどの程度行き渡っているのかについて、二つの統計データで検証します。

 その一つは、日銀が発表しているマネーストックです。マネーストックとは企業、個人、地方自治体などが保有する通貨の総量のことで、実際に世の中に出回っているおカネの総量を示します。一般的には「M2(現金+預金)」という指標で表されます。ちなみに、金融機関と政府が保有するおカネは含まれません。

 近年のマネーストックのM2の推移を見ると、2008年のリーマンショック以降は前年同月比2%台前後の伸び率でしたが、日銀が政府と「物価目標2%」の共同声明を発表した2013年1月以降、伸び率が上昇し始めました。特に黒田総裁就任後の同年4月に「異次元緩和」を決めた後、伸び率は一時4%台まで拡大しました。その後はいったん、伸び悩みましたが、昨年10月末の追加緩和後は再び、拡大する傾向を示しています。

 よく「日銀が量的緩和しても、そのおカネは金融機関に滞留するだけで民間に行き渡らないため、量的緩和の効果はない」などと言われます。確かに日銀は量的緩和の具体策として「マネタリーベースを2年で2倍」という目標を掲げ、ものすごい勢いで資金を供給してきました。マネタリーベースとは、中央銀行が金融機関を直接の対象として供給する通貨の総量で、この2年間の伸び率は毎月30~40%台、月によっては50%台というケタ外れの数字になっています。

 まさに「異次元の金融緩和」が実行されているにもかかわらず、民間(地方自治体などを含みますが)に供給される通貨の総量を表すマネーストックの伸びは十分と言えません。それでも、アベノミクス実施以後の3%台から4%台という伸び率は、現在の統計方式以降では最も高い水準に達しており、量的緩和の効果は一定程度表れていると言えます。

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