資産デフレ脱却の度合いを測る公示地価

意外に“健闘”する地方圏

岡田 晃
全国平均では商業地の地価が下げ止まり

 国土交通省がこのほど、2015年1月1日時点の公示地価を発表しました。それによると、全国の商業地が7年ぶりに下げ止まり、住宅地を含む全用途では0.3%の下落ながら下落率は5年連続で縮小しました。一方、地方圏は商業地・住宅地ともにマイナスが続き、地価の二極化が進んでいます……。これが多くのメディアの主な報道内容です。

 確かにそのとおりですが、ここでは別の角度から地価の動向を分析してみます。それは地方圏の動きです。15年の地方圏の地価は住宅地が1.1%下落、商業地が1.4%下落で、全用途では1.2%の下落となりました。この数字だけ見ると、「地方は相変わらず下落が続いている」の一言で片付けられてしまいそうですが、14年の下落率に比べると住宅地が0.4ポイント、商業地が0.7ポイント、全用途で0.5ポイントも縮小。3大都市圏の改善幅を上回りました。

 中でも地方中枢都市(札幌、仙台、広島、福岡)は住宅地1.5%上昇(前年より0.1ポイント拡大)、商業地2.7%上昇(同0.7ポイント拡大)、全用途1.8%(同0.2ポイント拡大)となり、上昇率の改善幅でも3大都市圏を上回っています。

 こうしてみると、地方の地価は意外に“健闘”していると言えます。健闘ぶりを示すデータをもう一つ。地方圏の全用途での1.2%という下落率はなんと1995年以来、20年ぶりの小ささなのです。依然としてマイナスなのは事実ですが、下落幅は5年連続で縮小しており、総合的に見ると地方圏の底上げは着実に進んでいると言ってよさそうです。

 この背景にはやはり、金融緩和があります。日銀の「量的・質的緩和」によってあふれたマネーはまず都心部や湾岸部など大都市圏へ向かい、次いで地方中枢都市を中心に地方へ広がっていることを示しています。

 地方には北陸新幹線開業や中央リニア新幹線計画などの個別プロジェクトが地価を押し上げるという個別要因もありますが、大都市圏近郊の地方ではネット通販に対応して大規模物流施設を建設する動きが相次いでいることなども、地価上昇の要因となっています。

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