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世界最注目の統計を先取りする指標とは

米雇用者数増の大幅鈍化を“予言”

岡田 晃
3月の雇用統計で非農業部門の雇用者増加数はフシ目の「20万人」を大幅に下回った。

 米労働省が3日に発表した3月の雇用統計(速報)で、非農業部門雇用者数が前月比12万6000人増にとどまりました。この増加数は事前予測の半分程度で、市場を驚かせました。

 米国の雇用はこのところ改善が進んでいただけに、今回の結果は意外な印象ですが、実は発表の2日前に今回の結果を“予言”するデータが明らかになっていました。

 それは、給与計算代行など人事雇用サービスを手掛ける民間会社、ADP(オートマチック・データ・プロセッシング)社が発表した雇用調査レポートです。同社独自の調査によると、3月の非農業部門雇用者数は速報で前月比18万9000人増でした。ADP調査でフシ目とされる20万人を下回るのは2014年1月以来14カ月ぶり。雇用増加の大幅鈍化を示していました。まさに今回の労働省の雇用統計を先取りしていたのです。

 ADP調査は06年から発表が始まった新しい指標で一般にはなじみが薄いのですが、市場関係者の間では最近、とみに注目度が高まっています。発表日が毎月第1水曜日、つまり、雇用統計の2日前という絶妙のタイミングで、この数字が雇用統計の内容を予測する大きな材料になるからです。

 注目を集める理由はそれだけではありません。ADP社はクライアントである約40万社、2300万人分の給与データをもとに雇用増加数などの予測を算出しているのです。これほどサンプル数の多い経済データはそうあるものではありません。それが、世界で最も注目を集める雇用統計の2日前に発表されるのですから、いやが応でも注目が高まります。

 実際、これまでのデータを見ても雇用統計を先取りしているケースが目立ちます。13年1月から14年1月までの13カ月ではADP調査で雇用者数が20万人を下回ったのは9回ありましたが、うち7回は雇用統計でも20万人を下回っています。一方、ADP調査では14年2月から15年2月まで13カ月連続で20万人を上回りました。このうち12回は雇用統計でも20万人を上回っています。

 ADP調査と雇用統計の雇用者増加数をグラフにすると、ADPで増加数が前月より拡大した月は雇用統計での増加数がより大きくなり、ADPで増加数が縮小した月は雇用統計での縮小がより大きくなる傾向が見てとれます。つまり、ADPが表す傾向が雇用統計でより明確になると言えるのです。

 このような観点からADP調査の最近の動きを見ると、やや気になることがあります。それは、ADPで雇用者増加数が14年11月以降、4カ月連続で縮小していることです。実は4カ月連続の増加幅縮小は、リーマンショック後で初めてなのです。今回の雇用統計の「12万人増」という予想外の結果に市場はびっくりしましたが、ADPはいち早くそれを示唆していたと言えます。

 今回の雇用統計では1月と2月の雇用者増加数が下方修正されました。それもADPの先見性を示していると言うと、“褒めすぎ”でしょうか。

東洋経済から絶好調企業を先取り

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