日本株急落を招いた米貿易収支悪化

赤字縮小基調に転機か

岡田 晃
(写真:hin255/PIXTA<ピクスタ>)

 久しぶりに米国の貿易収支が注目を集めました。と言っても、あまり「いい注目」ではありませんでしたが……。

 5日に米商務省が発表した3月の貿易赤字は513億6700万ドル、前月比43.1%増となり、2008年10月以来ほぼ6年半ぶりの大幅赤字となりました。貿易赤字の拡大は、GDP(国内総生産)統計ではマイナス要因になります。このため、近く発表される1~3月期の実質GDP改定値が、速報値(前期比、年率換算0.2%増)から下方修正されてマイナスに転落するのではないかとの予想が浮上しました。 

 それが一因となって同日と翌6日の米ニューヨーク株式市場ではダウ平均が2日連続で大幅安となりました。イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長の「株価は割高」との発言や米国の弱い経済指標など悪材料も重なりました。

 その影響で連休明け7日の東京市場では日経平均株価が239円安の急落を演じ4月28日に終値ベースで2万円を回復して以降、最も安い水準まで下落しました。米の貿易赤字拡大が間接的に日本の株価急落のきっかけになったともいえるのです。

 米の貿易収支は昔から市場の注目の的でした。現在、世界で最も注目度の高い経済指標は米雇用統計ですが、1980年代後半から90年代は米国の貿易赤字が毎月のビッグイベントでした。当時は米国の貿易赤字と日本の貿易黒字が為替相場の動向を決定づける最大の材料とされ、発表を受けて円高・ドル安が進むのが常でした。

 90年代後半以後は円高がいったん落ち着いたこともあって米貿易収支の注目度は低下し、代わって米雇用統計が注目度ナンバーワンに躍り出た感があります。しかし、最近は米貿易収支が別の角度から注目されるようになっています。それにはシェール革命と原油価格下落が関係しています。

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