アンジェスMG、世界初の遺伝子治療薬の実力(上)

「10年後売上高500億円」の道筋

小長 洋子
(撮影:梅谷秀司)

 遺伝子治療薬の開発を行う創薬ベンチャー、アンジェス MG(4563、以下アンジェス)。同社は、バイオベンチャーの中でも一歩進んだ存在だ。1999年12月に設立、2002年9月には東証マザーズに株式公開し、大学発バイオ創薬ベンチャーとして初の上場企業となった。

 そもそもアンジェス設立の目的は、HGF(肝細胞増力能を持つタンパク質)が新生血管を作り出す能力を発見した、当時は大阪大学准教授だった循環器系医師の森下竜一教授の特許技術を基に、世界初のHGF遺伝子治療薬を作るというものだった。ところが、この輝かしいはずの世界初づくしは、逆風にもなった。

国内承認申請取り下げ、米国での開発を優先

 上場直後の02年10月、フランスにおける免疫不全症の遺伝子治療で白血病を発症した例が3例も報告され、フランス医療衛生庁と米国FDA(食品医薬品局)がこの遺伝子治療法の一時中止を決定したのだ。この方法では、導入する遺伝子を細胞内に運び込むベクター(運び屋)として使われたレトロウイルス(白血病などのウイルスでRNAしかもたない)が原因ではないかと疑われ、厚労省でも一時、レトロウイルスをベクターに使った遺伝子治療は臨床研究の停止を指示せざるをえなくなった。

 アンジェスの技術では、レトロウイルスなどのウイルスベクターは使われない。だが、一度芽生えた遺伝子治療に対する懸念を払拭するには時間がかかる。臨床試験が始まってからも患者の登録数がなかなか増えず、苦戦した。

 ようやく臨床試験が終了したのは07年6月。上場時の目標、「05年に承認申請」からは大幅に遅れてしまった。しかも、08年3月に承認申請を提出したものの、統計的には有効と証明済みだったデータについて、当局から症例数をもう少し増やすよう指摘を受けてしまう。結局、進行中の米国での臨床2相を優先することとし、国内の承認申請はいったん取り下げた。

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アンジェス (4563)

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