「マザーズ指数先物」登場ならミクシィは買い、の大ウソ

値幅取り狙いの投資家には朗報だが…

岡村 友哉
東証マザーズ市場にもようやく株価指数先物が登場する(撮影:尾形文繁)

 先週24日の引け後、JPX (日本取引所グループ,8697)が東証マザーズ指数先物の導入を発表した。2016年半ばに上場する予定という。「激しく動くマザーズ指数の値動きを狙いたい」というトレーダー(がいれば)、その欲求を満たす指数売買が誕生するのは喜ばしいことといえるだろう。

 ここ数年は日経平均株価の変動が大きいため、指数売買のニーズを日経平均がくみ取っている。ただ、指数水準が低い分、爆裂したときのポテンシャルが大きいのがマザーズ指数。例えば、2013年4月がすごい。4月の月間高値874ポイント、安値585ポイントで指数の上下幅が289ポイントも出た(率にして約49%!)。さすがにこれは日経平均では実現不可能な域である。

 そのマザーズ指数に対し、先物ならば“レバレッジ”をかけられるわけで、ギャンブル性を好むタイプの個人投資家にはたまらないはずだ。もちろん、新興株で作ったポートフォリオのヘッジとして、「マザーズ先物を○枚売る」といった使い方もできる。

 このマザーズ先物誕生をめぐってはJPX発表の24日、事前に報道した経済紙があった。そして、同日、東証マザーズ市場で時価総額トップのミクシィ (2121)が一時、前日比で7%近い値上がり率となる場面を作った。ミクシィ株が元気なことは何よりだが、この動きとマザーズ先物の誕生を絡めて解説しようとする記事が目立っていた。

 記事は大きく2つの意見に分かれていた。1つが、「マザーズ先物上場への期待で、ウエイトの大きいミクシィが買われた」というものである。マザーズ指数にとってのミクシィは、日経平均株価にとってのファーストリテイリング (9983)のようなものだから、という意味だろう。

 ただ、これはありえないことである。単に先物が上場するというだけであって、その先物が上がるか下がるかはわからないからだ(当たり前だが……)。これが、「マザーズ指数のETFが大型で新規組成された」という話であれば、前出の言い分で正しい。ETF組成の段階で、ウエイト分の現物株買いになるからだ。

 一方、こんな見解も目にした。「マザーズ先物ができると、裁定取引も活発化する」というものである。例えば、マザーズ指数先物に対する買い物が膨らんで、現物のマザーズ指数との価格差が大きくなったとする。このとき、瞬間的に割高になったマザーズ先物を売って、瞬間的に割安になった「マザーズに上場する214銘柄のバスケット(裁定取引に係る現物ポジション)」を買うのが裁定取引である。

 普通に想像すればわかるが、そんなことが活発化するわけがない。裁定買いポジションにあたる「マザーズに上場する214銘柄」のすべてに、瞬間的に成り行き買い注文を入れたとする。そんなことをしたら何が起きるか……「板薄」の低流動性銘柄の値段が大きくブレてしまうのだ。

 例えば、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン (6085)日本ファルコム (3723)などの出来高をチェックしてもらえばわかる。これでは、割安さを狙って買った現物のほうが先物より高くなるという支離滅裂な結果に終わってしまう。そんなことをチームで行うブローカーが出てくるわけがないだろう。

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