消費関連指標はこう使い分けよう

回復示すデータが続々と…

岡田 晃
5月の百貨店売上高はインバウンド消費拡大の恩恵で大幅増(撮影:大塚一仁)

 このところ、個人消費の回復を示すデータが相次いでいます。総務省が26日に発表した5月の家計調査では、2人以上の世帯の1世帯当たり消費支出は28万6433円と、物価変動の影響を除く実質で前年同月比4.8%増になりました。消費増税前の2014年3月以来、14カ月ぶりの増加です。

 家計調査の消費支出については当連載で先月書いたとおり、4月は事前予想に反して前年同月比マイナスでした。住宅リフォーム支出の大幅減が最大の理由です。昨年は消費増税前の住宅リフォーム需要の一部が4月までずれ込んだためリフォーム費の支出が膨らみ、その反動で今年4月の消費支出額が前年同月を下回る結果になりました。その影響を差し引けば、4月にもすでに増加傾向が表れていましたが、5月はその影響もなくなってようやくプラスに転じたのです。

 プラス幅も市場の事前予想3.8%増を上回りました。これは、消費増税前の駆け込み需要があった14年3月を除くと13年3月以来、約2年ぶりの大きさです。

 5月の消費支出を品目別に見ると、住宅リフォームなど「住居」が23.6%増、家電など「家具・家事用品」が19.7%増、自動車など「交通・通信」が14.8%増など、“大物”の伸びが目立ちます。

 消費回復はその他の指標からも読み取ることができます。29日に経済産業省が発表した5月の商業動態統計(速報)で、小売業販売額は前年同月比3.0%増となりました。4月の4.9%増に比べると伸び率はやや鈍りましたが、消費増税による反動減の影響がなくなってきたといえます。

 小売業販売額の統計は、全国の百貨店、スーパー、コンビニエンスストアのほか、小規模小売店も調査対象に経産省が集計・発表しているものです。全国の小売業の動向をほぼ網羅しており、各業態別の販売額をはじめ、衣料、飲食料品、医薬化粧品など分野別の動向も把握できます。経産省は卸売業についても同じ手法で調査しており、小売業と卸売業の毎月の販売額をまとめ「商業動態統計」として翌月下旬から月末に発表しています。

 商業動態統計と前出の家計調査はいずれも消費動向を表す指標ですが、その特性には違いがあります。家計調査が「買う側」から見たデータであるのに対し、商業動態統計は「売る側」からのデータです。言葉を換えれば家計調査が「需要」、商業動態統計は「供給」の動向を表すものです。つまり、この二つのデータをつねに突き合わせて見ることで、需要と供給の両面から個人消費の動向を把握することができます。

 商業動態統計は、内閣府が四半期ごとのGDP(国内総生産)統計作成に際し基礎データの一つとして使われているほか、政府の月例経済報告や景気動向指数にも利用されるなど景気判断に欠かせない統計として重要な役割を果たしています。ただ、同統計は小売業と卸売業の販売額であり、サービス業は含まれていません。したがって、同統計だけで個人消費全体を語ることはできません。サービス業の「売る側」のデータは他の統計から拾う必要があります。

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