野村証券が描く3年後の“5つのシナリオ”と投資戦略

尾畑秀一エコノミストに聞く

島 大輔
大きく乱高下する株価の先行きに注目が集まる
アベノミクスや日銀の量的緩和策などにより、大きな転換点を迎えている国内市場。今後3年間という中期スパンにおいて、個人投資家はどのようなシナリオを描き、それぞれについてどう投資戦略を構築していけばいいのか。野村證券の尾畑秀一マーケット・エコノミストに聞いた。

ーー株式市場の状況をどう見ていますか?

 中長期で見ると、日本株は株価、為替水準、企業収益において大きな転換点を迎えている。

 まず、株価についてだが、日経平均は1990年代には10年移動平均線線、2000年以降は20年移動平均線で上値を抑えられることが多く、下落トレンドが続いてきた。しかし、いよいよ30年移動平均を上回ってきており、過去30年の流れを大きく変える動きがおきている。

 為替に目を向けると、名目実効為替レートが10年移動平均をブレークする円安の流れになり、過去長く続いた円高のトレンドから変化してきている。そして、企業業績については、07年の過去のピークを更新、消費増税の影響で一時伸び悩んだものの、再び収益増基調を鮮明にしている。株式市場は東証一部の時価総額が600兆円に乗せ、バブル期を超えたが、当時とは収益レベルがまったく違うため、過熱感はそれほどない。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)などによる、株式の比率を高めるポートフォリオのリバランスなども追い風となっている。

おばた・しゅういち●神戸商科大学経済学部 修士課程修了。1997年野村総合研究所入社。その後、野村証券金融経済研究所などを経て現職。

 一方、グローバルマーケットはどうか。米国、ドイツは主要株価指標がこの数ヶ月内に過去最高値を更新しており、株式マーケットだけを見ると世界的に景気が非常にいいと映る。しかし、債券相場に目を向けると、金利は過去最低に近く、まだデフレ圧力が蔓延しているというメッセージが読み解ける。つまり、株と債券のマーケットで両極端な動きをしているということになる。

 なぜ、このような両極端な動きが起きているのか。一つは先進国が行っている量的緩和政策によるものだ。中央銀行が直接長期国債を購入していくという政策であり、需給の面からも金利上昇を抑える圧力になる。二つ目の要因は、資源価格の急落だ。資源輸入国にとっては燃料コストの低下、企業業績の改善という形で株価上昇要因となり、債券についてはインフレ率が抑えられ金利が低下することにつながる。

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