ギリシャに必要なのは中長期の成長戦略

景気はリーマン前から長期低迷

岡田 晃
ギリシャ・アテネの街並み(写真:masashi_h/PIXTA〈ピクスタ〉)

 ギリシャの国民投票は大差で「緊縮NO」が「YES」を上回るという結果に終わりました。これによってギリシャ情勢の先行きは一段と混沌としてきました。今後の見通しなどについては多くのメディアで論じられているので、ここではあらためてギリシャの経済状態に目を向けてみたいと思います。

 よく話題になるのがギリシャの失業率の高さです。先日、EU統計局が発表した5月のユーロ圏の失業率は11.1%で、前月比横ばいでした。2013年ごろの12%台に比べれば少し低下しているものの、依然として高水準です。

 このうちギリシャの失業率は最新の公表数字である3月時点で25.6%。4人に1人が失業者という経済状態など私たちには想像もつきませんが、ギリシャでは25%を超える水準が12年7月以来、2年9カ月も続いています。

 さかのぼると、リーマンショック前の7%台から09年には9%台まで上昇しましたが、それでもユーロ圏全体の失業率とほとんど変わらない水準でした。しかし、ギリシャ危機が表面化した10年以降は上昇に拍車がかかり、13年9月には27.9%に達しました。その後はほぼ横ばいからわずかに低下という推移です。

 このような状況で多くの国民が財政緊縮に不満と不安を強めていったのも、ある意味ではうなずけるところです。特に25歳未満の失業率が50%前後に達していることが事態を深刻にしており、今回の国民投票ではそのような若者の多くが反対票を投じたとみられます。

 ギリシャの経済低迷は、実は今に始まったことではありません。同国の実質国内総生産(GDP)はアテネ五輪開催前の03年が6.6%増、五輪が開催された04年が5.0%増といずれも高い成長を遂げましたが、その反動から翌05年は0.9%増と大幅に鈍化しました。

 06年には盛り返したものの、07年には伸びが再び鈍化、08年にはマイナス成長に陥りました。08年といえばリーマンショックが起きた年ですが、多くの先進国では08年のGDPはまだプラスを保っていました。ギリシャ経済がいち早く落ち込んでいたことがわかります。

 その後は13年まで6年も連続でマイナス成長が続きました。しかも、そのマイナス幅はいずれも大きく、この間の通算でGDPの規模は26%も縮小しました。前回のギリシャ危機の取材でアテネを訪れたとき、たまたま乗ったタクシーの運転手は「オリンピックの頃がいちばん景気よかった」と嘆いていました。国民の実感はまさにGDPのデータどおりなのでしょう。

ページトップ