ギリシャのユーロ離脱確率60%、中国株には下落余地

UBSのミンラン・タン氏に聞く

緒方 欽一
(写真:PIXTA〈ピクスタ〉)
 ギリシャ問題と中国株式市場の波乱が、各国株式市場の重しとなっている。今後の展開をどう読めばいいのか。欧州金融機関大手UBSのウェルス・マネジメント部門でアジア太平洋地域の投資戦略部門を統括するミンラン・タン氏に話を聞いた。

ーーギリシャ問題の今後の展開をどう見ていますか。

 周知のとおり、5日に行われたギリシャ国民投票の結果は、欧州連合(EU)が求める財政緊縮策の受け入れを拒否するものだった。これによりギリシャのユーロ離脱は60%の確率で起こりうるシナリオになった。

 もちろん、ユーロ圏にとどまることはまだ可能だ。その条件は、ギリシャがEUの信頼に足る構造改革案を提出し、その提案が12日に開催されるEU首脳会議で受け入れられ、新たな金融支援合意を得ることである。

 しかし、回答が信用を得られない内容だと金融支援が受けられず、20日に期限を迎える欧州中央銀行(ECB)保有のギリシャ国債35億ユーロ(約4700億円)の償還が難しくなる。

 償還ができなければ、ECBがギリシャの銀行に実施している緊急流動性支援は打ち切られ、すでに預金流出に見舞われているギリシャの銀行は資金不足で破綻に追い込まれる。これがまさにユーロ離脱の始まりとなる。

いざとなればECBが株を買うことも

ーー株式市場などマーケットにはどのような影響が予想されますか。

Tan Min Lan●シンガポール金融管理局やメリルリンチなどを経て2013年8月1日より現職。日本を含むアジア太平洋地域におけるハウスビュー(投資見解)の推進などを指揮・監督する(撮影:今井康一)

 ベストシナリオは、ギリシャの提案が受け入れられてユーロ圏に残留するというもの。欧州の株価は4月のピークから14%下げているが、ユーロ離脱リスクが消えれば株価は反転し大幅に上昇するだろう。

 一方、ワーストシナリオはギリシャがユーロから離脱すること。そうなると、株価はさらに5~10%程度下がり、世界的にリスク資産が売られる展開になるだろう。

 同時にリスクが周辺国へ広がり、スペイン、イタリア、ポルトガルの国債利回りが急騰する。現在、これらの周辺国の10年国債利回りは、安全資産と位置づけられているドイツ国債より1.6%ポイント高い。この差が市場の懸念を反映して3%ポイントくらいに広がると想定される。

 ただ、85%の確率でECBはギリシャ以外の国の金融資産に影響が飛び火するのを防ぐことができると見ている。というのも、ポルトガル、スペインなどギリシャ以外の国でも信用リスクが高まった11年と現在の状況で一番異なるのは、ECBがすでに量的緩和策を実施しているからだ。

 ECBは国債や欧州機関債などのソブリン債を毎月600億ユーロ(約8兆円)買い入れ、市中にマネーを供給している。いざとなれば、この買い入れ額を800億ユーロ、1000億ユーロと拡大できる。

 ECBはソブリン債以外の資産、たとえば企業が発行する社債や株式を買うことも可能だ。ECBのドラギ総裁が公約しているように「やれることはなんでもやる」ことで、「ラストリゾート(最後の貸し手)」の役割を演じることができる。

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