近未来、日本発のハイテク・トイレは世界に普及するか?

国内普及は23年で14%から77%に

岩崎 日出俊
日本の温水洗浄便座は、外国人観光客に驚きをもたらしている 写真:YNS / PIXTA(ピクスタ)

 10年、20年とじっくりと時間をかけて、人々の生活スタイルは変わっていく。40年前、飲み水をスーパーやコンビニ、ネット販売で購入するなど、ほとんどの人が想像できなかった。誰もが水道の蛇口から出る水を飲んで満足していたのである。20年前、サラリーマンの多くは電車の中でスポーツ新聞や雑誌を読んでいた。今ではこういった風景はあまり見られず、ほとんどの人がスマートフォンをいじっているか、寝ているかだ。

 こうした生活スタイルの変化は、いったん変わってしまうとなかなか逆戻りしない。変化を先導した企業は、マーケットの成長を自らの成長エンジンとすることができる。

 トイレについてはどうだろうか。これもひと昔前とは様変わりで、日本では温水洗浄便座が急速に普及してきた。近未来において、温水洗浄便座が世界を席巻するようになるのだろうか。

最初に作ったのは米国、スイス

 この温水洗浄便座が生まれたのは、米国、そしてスイスだった。その経緯について、米国のウェブサイト「Bidet.org」は以下のように伝えている。ニューヨークのブルックリンで生まれた当時23歳のアーノルド・コーエンが、1964年、洗浄装置付きの便座を開発。彼の父親は、直腸とその周辺に病を抱えていた。コーエン青年は父親のために何とか役に立ちたいとの一心で、2年の歳月をかけて洗浄装置付き便座を作り上げたという。コーエンはその後ただちにアメリカン・ビデ・カンパニーという会社を立ち上げ、自分が父親のために作った製品を全米で販売しようとした。

東洋陶器(現在のTOTO、5332)は当時いち早くこれに目をつけ、すでに64年の段階でコーエンの作った洗浄装置付き便座の輸入販売を開始している。

 一方、ほぼ同じ時期にスイスの医者も患者のために似たような便座を開発していた。伊奈製陶(現在のLIXILグループ、5938)はスイスの会社と契約を結び、日本での輸入販売を開始した。

長い年月をかけて日本で発達

 出発点は海外であったが、温水洗浄便座の機能を極め、発展させたのは日本の企業である。国産の第1号は67年に伊奈製陶(当時)が発売、東洋陶器(当時)は便座暖房機能をプラスして69年から国産品を生産するようになった。

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