中村超硬・井上社長「ダイヤモンドワイヤの世界標準化は間違いない」

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四季報オンライン編集部
主力製品のダイヤモンドワイヤ

 「IPO会社の社長に聞きた~い」。今回登場するのは6月24日に東証マザーズへ上場した中村超硬 (6166)の井上誠社長。同社は太陽光発電パネル用ウエハの製造などに用いる「ダイヤモンドワイヤ」の大手メーカーだ。

 ダイヤモンドワイヤは細いピアノ線にダイヤモンドの粒が付いた糸状の工具で、シリコンのインゴット(塊)を薄く切断するのに使う。インゴットが「卵」で、ダイヤモンドワイヤが「卵切り機」というイメージだ。

 上場当日に公開価格(1700円)を約12%上回る1901円で初値を形成。7月2日の取引時間中には2567円まで上昇した後は軟化し、8月10日は1756円まで売られた。その後は再び2000円を奪回したものの、足元は方向感の定まらない展開になっている。前週末25日の終値は2051円だった。

 大阪・堺にある本社を訪れ、井上社長に現在の収益環境や経営課題などを聞いた。聞き手は角田佐哉香キャスター(会社四季報オンライン編集部)。

(編集部)
 中村超硬は1954年に大阪・堺で創業した中村鉄工所が前身。その後、1970年に「中村超硬」として設立され、2010年に現在の場所へ本社を移転した。ダイヤモンドワイヤ製造などの電子材料スライス周辺事業が主力で、売り上げ全体に占める割合は約68%(今2016年3月期会社予想ベース)。「ダイヤモンドワイヤの世界シェアは旭ダイヤモンド工業 (6140)に次いで2位」(井上社長)という。電子部品実装用の産業機械に使われる「ダイヤモンドノズル」という部品などを取り扱う「特殊精密機器事業」、合成繊維用ノズルの製造や不織布関連装置の販売などを行う「化学繊維用紡糸ノズル事業」の両事業も手掛ける。

価格は開発時の10分の1に

ーーシリコンの切断でダイヤモンドワイヤを使うメリットは。

いのうえ・まこと●ソニーを経て1983年に当社へ入社。専務を歴任し、95年に社長就任。現在に至る。中村超硬は義父が創業。「中小零細のモノづくり会社で何らかの形で役に立てないか、という漠然とした使命感を抱いて事業を引き継いだ」(同社長)。

 従来の「遊離砥粒方式」と呼ばれる製造方法からダイヤモンドワイヤを用いた「固定砥粒方式」と呼ばれる方法への転換が進んでいます。現在、後者のシェアは20%程度です。

 前者はダイヤモンドよりも柔らかく、価格も安い「SiC」という砥粒を加工液に混ぜてピアノ線に何も付いていないワイヤとシリコンが接触するところに流し込み、スライス加工を行う方法です。この方法だとSiCが固定されていないため、シリコンを削るときにワイヤも削れてしまう。

 これに対し、ダイヤモンドワイヤはダイヤモンドが固定されているため、ワイヤの消耗量を大幅に減らせます。切れ味も鋭く、加工速度は2倍以上。加工液として使う油も不要で、生産性の向上やコストダウンが見込めるというわけです。ダイヤモンドワイヤが世界標準になるのは間違いないでしょう。

ーーしかし、シェアは約20%にとどまっています。

 インフラ面での制約があるからです。「遊離砥粒方式」から「固定砥粒方式」へ移行が進むには二つの条件が前提です。一つはダイヤモンドワイヤを利用するための機械を導入すること。それには設備投資が必要で、時間がかかります。

 従来の機械を改造してダイヤモンドワイヤを使えるようにするのも一法ですが、改造できない機械を利用している企業のほうが多い。今はダイヤモンドワイヤの使える機械が売れるようになっています。

ーーダイヤモンドワイヤの値段は安くなっているのですか。

 開発を始めた10年ほど前に比べて10分の1程度の水準まで下がっています。「遊離砥粒方式」は安さが最大のメリットでしたが、ダイヤモンドワイヤは低価格化に伴ってコスト競争力が出てきました。

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中村超硬 (6166)
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