消費者物価2カ月連続減でも「物価は上昇基調」

日銀追加緩和見送りの裏側

岡田 晃
日銀算出の「生鮮食品とエネルギーを除く」消費者物価指数は9月に1.2%上昇(撮影:尾形文繁)

 前々回に続き、消費者物価について取り上げます。総務省がこのほど発表した9月の消費者物価指数は、変動の激しい生鮮食品を除く指数で前年同月比0.1%下落となり、2年4カ月ぶりに下落に転じた8月(同0.1%下落)に続いて2カ月連続のマイナスとなりました。

 下落の最大の原因は、8月と同じように原油価格値下がりの影響です。ガソリンが同19.5%下落したのをはじめ、電気代やガス代などを含めたエネルギーが同12.1%下落し、いずれも前月より値下がり率が拡大しました。

 ただ、下落はエネルギーなど一部の品目に集中しています。下落した品目数は前月(131品目)より少ない124にとどまった一方、上昇した品目は351で前月(339品目)より増えました。

 総務省が同時に発表した「食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合」では同0.9%の上昇となっています。しかもこの上昇率は7月0.6%、8月0.8%、そして9月の0.9%と、緩やかながら拡大傾向になります。つまり、物価は全体として上昇基調にあるといえるのです。

 前々回でも書きましたが、総務省が発表する消費者物価指数には、①総合指数②生鮮食品を除く総合指数(いわゆるコア指数)③食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)ーーの3種類があります。①は実際の物価全体を表しますが、生鮮食品は天候要因によって変動が大きくなるため、経済活動を反映した物価動向の基調を判断するには②を見る必要があります。日銀の「2%目標」も②を尺度にしています。

 しかし、最近のような原油価格の大幅な値下がりも、いわば一時的な特殊要因なので、物価の基調をより的確に判断するには③が適切なのです。ただ、この指数は食料品も除いて算出しているため、現在のように特に原油下落の影響が大きい状況下では、さらに的確に物価の基調を表すにはやや不十分です。

 そこで最近は日銀が、総務省のデータを基に「生鮮食品とエネルギーを除く」という指数を独自に算出するようになりました。その指数を見ると、7月は前年同月比0.9%上昇、8月は同1.1%上昇、9月は1.2%上昇となっており、4種類の指数で上昇率が最大となっています。

 この数字から見れば、デフレ脱却に向かって着実に進んでいるといえるわけです。黒田日銀総裁が「物価の上昇基調が続いている」と繰り返し強調しているのもこれが根拠になっています。日銀が10月末に追加緩和を見送った理由も、まさにここにあります。

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