日本企業の海外M&A、買収額が初の10兆円超え

守りから攻めの経営へ転換

岡田 晃
JTは米レイノルズ・アメリカンのブランド「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の米国外事業を買収(撮影:尾形文繁)

 日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が急増しています。M&A助言・支援大手のレコフが9日までに集計したところによると、2015年はM&A金額(円ベース)が初めて10兆円を上回り、過去最高を記録しました。上場企業の手元資金が過去最高水準となり、これまで守りの経営を強いられてきた日本企業が攻めの経営に転じてきたことを示しています。

 レコフの発表によると、2015年の日本企業による海外企業へのM&Aは9日までで474件、10兆0044億円となり、前年同期の455件、4兆9120億円を上回りました。年間の金額ではこれまで06年の7兆5006億円が最高でしたが、すでにこれを大きく上回っています。

 日本企業による海外M&Aは06年から増え始めた後、08年のリーマンショックの影響でいったんは停滞しましたが、10年ごろからは円高を背景に再び増加に転じていました。その後は円安となっているので本来なら逆風ですが、それにもかかわらずM&Aが加速していることは、日本企業の買収意欲の強さを表しています。

 今年に入ってからのM&A増には、いくつかの特徴や背景があります。第1は、生保・損保の大手が軒並み海外でのM&Aに乗り出していることです。今年の海外M&Aの金額トップ10には、東京海上ホールディングス (8766)、三井住友海上火災保険、明治安田生命保険、住友生命保険の4社、続いてトップ20にも日本生命保険(12位、2040億円)、損保ジャパン日本興亜ホールディングス(8630、20位、1100億円)が入っています。

 生損保業界では昨年も第一生命保険 (8750)が米生保会社を5750億円で買収を発表するなど、昨年から今年にかけて海外M&Aラッシュとなっています。そこには、国内の生損保市場が人口減少や若者のクルマ離れなどで大きな伸びが期待できないため、海外市場に打って出ようとの狙いがあります。

 特に米国の生損保会社を買収する例が目立ちます。これは米国が世界最大の保険市場で今後も人口増加や経済成長が見込めることから有力な買収先となっているのです。

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