経済統計集中日から浮上した“謎”

失業率は20年ぶりの低水準だが消費は?

岡田 晃
個人消費は依然として盛り上がりを欠く(撮影:今井康一)

 毎月の最終金曜日は消費や雇用関連を中心に経済統計の発表が集中します。発表される指標はいずれも景気の動きを敏感に反映する、注目度が高いものばかりです。特に先週の金曜日、11月27日の結果は、最近の景気を象徴する内容となりました。

 27日に発表された指標とその結果は右表のとおりです。10月の完全失業率は3.1%と前月比0.3ポイント低下し、20年3カ月ぶりの低水準になりました。同月の有効求人倍率は1.24倍。前月と横ばいでしたが、23年9カ月ぶりの高水準です。「20年ぶり」「23年ぶり」というのは「1990年代前半以来」を意味するので、バブルの余韻がまだ残っていた時期の水準へ回復したことになるわけです。

 バブル崩壊後にはこれまで4度の景気回復局面がありましたが、いずれも雇用情勢はあまり改善しませんでした。たとえば、「ITバブル」といわれた2000年は「景気の山」だった11月の失業率が4.7%へ上昇した状態で、有効求人倍率も0.65倍と、1.0を大きく割り込む低い水準にとどまっていました。

 しかし、今回の回復局面では雇用関連指標が歴史的な改善を見せており、これが大きな特徴となっています。企業や業種によっては人手不足が深刻化しているほどで、こんなことは長らくなかった現象です。

 そもそも、上記の二つの指標のうち、有効求人倍率は景気の変化にほぼ一致して変動する一方、失業率は景気にやや遅れて変動するという特性を持っています。つまり、総じていえば、雇用関連の指標の改善は景気回復の結果生じるものであり、これほどまで雇用が改善したのは、ふつうなら景気が極めて順調に回復していることを反映したものであるはずです。

 ところが、同じ日に発表された消費関連の指標からはまったく違う姿が浮かび上がります。総務省が発表した10月の家計調査によると、物価変動の影響を除いた実質消費支出は1世帯当たり(2人以上の世帯)28万2401円で、前年同月比2.4%減でした。これは「横ばい」を見込んでいた市場の事前予想を大きく下回る内容。減少は2カ月連続です。

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