ヘリオス、「iPS」使う眼科再生治療薬の可能性(上)

3次元臓器の共同研究も

小長 洋子
(撮影:尾形文繁)

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の再生医療手術が行われたのは2014年9月のこと。1年後の15年10月には生着も順調で腫瘍化も見られないとの経過報告がなされた。理化学研究所(理研)の髙橋政代プロジェクトリーダーを中心とした、この最先端医療を縁の下で支えたのがヘリオスだ。

 ヘリオスは理研の髙橋博士の意を汲んで、11年2月に日本網膜研究所として設立。同年8月には理研発ベンチャーの認定を受け、網膜色素上皮シートの共同研究の一環で製造にも携わってきた。13年9月にはギリシャ神話の太陽神から名を取ってヘリオスに社名変更。14年9月の理研による臨床研究成功を背景に、15年6月には東証マザーズに上場とトントン拍子に成長を遂げている。だが、ヘリオスの事業はiPS細胞シートだけではない。

眼科手術用補助剤で欧州市場を席巻

 ヘリオスの鍵本忠尚社長は、もともと九州大学病院の眼科の臨床医。医師になって2年後には、九州大学で開発され、自身も研究メンバーに加わっていた眼科手術用補助剤「BBG250」の事業化を目指して、アキュメンバイオファーマを創業した。

 BBG250は硝子体手術という眼科手術の際に、非常に薄くて透明なために手術しづらかった内境界膜(網膜の一番上にある組織)を一時的に染めて手術をしやすくするもの。サブライセンス先のDORC社(オランダ)が、すでに欧州をはじめとするCEマーキング(EU市場での指定製品に対する基準適合マーク表示)が有効な国をはじめとして73カ国・地域で販売しており、14年度には12万本の販売実績がある。販売開始からまだ5年ながら、使用した医師の63%がまた使いたいというほどスタンダードな地位を占めるまでになっており、まだまだ市場拡大が続く。

 現在は米国でDORC社が臨床試験第2相、国内ではわかもと製薬が臨床3相を進めている。また、白内障手術用としても国内で臨床2相が終了しており、パートナーが見つかり次第、次の段階に入る計画だ。

 創薬系ベンチャー起業家として最初の製品を創業から6年で販売にこぎ着け、その後も順調に市場獲得を進めてきた鍵本社長。だが、そこでとどまるつもりはなかった。臨床医時代に加齢黄斑変性の患者と出会い、この病気を根治する治療法を開発することが大きな目標の一つだったからだ。

 ちょうどBBG250の欧州での販売が開始された10年秋に、理研でiPS細胞を使った加齢黄斑変性治療法の開発を進めていた髙橋政代博士を訪問した折、iPS細胞による加齢黄斑変性治療用シートの開発会社設立の相談を受け、即答でOKした。髙橋博士が長年加齢黄斑変性治療法の研究をしていることも、研究内容も理解していた。だからこそ、髙橋博士から「これちょっと今度やらない?」と声をかけられたときに「いいですよ」と即答したのだ。

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