個人の株式保有をジャマする意外な理由って?

ほかのリスク資産より不利な扱い

鳥毛 拓馬
個人投資家の裾野が広がらないのはなぜ?(撮影:尾形文繁)

 16日に来年度の税制改正の原案となる「平成28年度税制改正大綱」が公表された。市場関係者は、金融庁が「平成28年度税制改正要望」で求めていた「上場株式等の相続税評価の見直し」が大綱に盛り込まれることを期待していた。だが、今回の大綱では見送られることになった。

 相続税の相続財産の価額は、被相続人の死亡日(相続日)の「時価」とされており、上場株式は相続日の終値、当該月、前月、前々月の各終値の平均値のうち最も低い価額で評価される。上場株式は、短期間で大きな価格下落リスクがあるにもかかわらず、不動産などほかの価格変動リスクのある資産と比べて不利な取扱いといえる。

 たとえば、土地は公示地価の80%程度、ゴルフ会員権は通常の取引価格の70%が相続税評価額だ。こうした事情から、特に株式投資の経験がない相続人が、相続時に上場株式を売却するケースが多いとされる。結果として、個人の株式保有比率も増えていない可能性がある。

 少額投資非課税制度(NISA)や2016年から始動する「ジュニアNISA」などの施策で個人投資家が増えたとしても、現行の評価方法が原因で相続を契機に株式が売却される状況が続けば結局、「貯蓄から投資へ」という政策目的を実現できないことになる。

 1985年から2014年までの30年間の各営業日に相続が発生したと仮定し、相続発生日と相続税納付期限日(発生日から200営業日後)の日経平均株価の変動率を試算したところ、相続税納付期限日の株価が発生日を下回ったのが全体の約46%に達した。

 株価の値下がり率が30%を上回ったケースは全体の4%余り。つまり、上場株式などの評価額を相続日の市場価格の70%とすれば、約96%の確率で、相続人は株価下落に対する“救済”を受けられることがわかる。

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