天気予報より難しい(?)経済予測

2016年の国内景気は「まずまず」か

岡田 晃
株式相場は波乱のスタートだったが…(撮影:尾形文繁)

 新しい年、2016年が明けました。15年は停滞ぎみだった日本経済ですが、16年はどのような年になるのでしょうか。各メディアは年末年始の恒例で16年の成長率や株価などについてエコノミストやシンクタンクの見通しをまとめています。年の初めにあたって、その一部を紹介しながら経済予測について考えてみましょう。

 日本経済新聞が元日の紙面に掲載している主要企業経営者(20人)アンケート調査によると、16年度の実質GDP伸び率について最も高い予測が1.7%、最も低い予測が1.0%で、平均値が1.5%となっています。15年度はこれまでのところ足踏み傾向ですが、16年度は好調な企業業績を背景に賃金・雇用増加から消費回復へとつながる、との見方が多くなっています。

 この予測どおりであれば「まずまず」の1年になると言えるでしょう。ただ同調査では、海外経済の不安要因を指摘する声も寄せられており、その動向次第では予測どおりにならない可能性も当然ありうるでしょう。

 16年度のGDPについてはエコノミストも経営者とほぼ同じような予測をしています。日本経済研究センターが民間エコノミスト41人を対象に毎月まとめている「ESPフォーキャスト調査」によれば、12月調査時点での予測平均は1.51%増となっています。15年度は0.9%増と「足踏み」の予測なので、16年度はそこから脱して景気は回復軌道に戻るということになります。

 しかし、各エコノミストの予測には0.9%台から2%程度までかなり大きな開きがあります。1%前後なら足踏みが続くことになり、逆に2%前後なら「まずまず」というよりも「好調」と言える状態。景況感は相当異なります。経済分析のプロの間でも、これだけ予測が違うのです。

 なぜこのような違いが起きるのか。その原因は3つあります。第1は現状判断の違いです。経済予測は現状判断を基に組み立てていくわけですが、実は現状判断そのものが非常に難しいのです。これに関しては後述します。

 第2の原因は予測の前提条件の違いです。たとえば、来年度の為替相場や原油価格の動向いかんで景気への影響が変わってきます。前出の経営者アンケートでは、今年12月末の円相場の見通しが1ドル=110円から130円まで散らばっており、円高を予想する経営者は国内成長率をやや低めに予測する傾向が見て取れます。したがって各種の経済予測を見る場合は、前提条件をどのように設定しているかにも目を向ける必要があります。

 第3は、予測の“官民格差”です。政府が年末に閣議決定した「2016年度政府見通し」は1.7%増で、民間平均の1.5%程度よりやや高めの見通しとなっています。この“官民格差”はしばしば見られる現象です。格差が生じるのは政府見通しに政策目標ないし政策的意思が込められる傾向があるからです。

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